本文ここから

市長施政方針(令和6年2月26日)

ページ番号 684-037-312

最終更新日 2024年2月28日

 令和6年第1回西東京市議会定例会の開会に当たり、令和6年度の市政運営の基本方針について所信を申し述べ、市民の皆様並びに市議会の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 はじめに、1月1日夕刻に発生した能登半島地震では、甚大な被害がもたらされ、多くの尊い命や財産、人々の生活の場が奪われました。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害にあわれた全ての方々に、心よりお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧・復興を願っております。また、被災地の復旧・復興にご尽力されている関係者の皆様に心より敬意と感謝を申し上げますとともに、本市から輪島市へ派遣した職員からも、「被災者に寄り添った対応の重要性を学び、貴重な経験となった。」との報告を受けました。
 このことを踏まえ、私は、首都直下地震を含めた災害への備えの重要性を再認識するとともに、発災直後の初動対応や、防災・減災への対策など、市民の皆様が安全に安心して暮らすことができる災害に強いまちづくりを、より一層、進めてまいります。
 西東京市長に就任してから3年が経過し、本年は、任期中の最後の一年となります。この間、西東京市の発展と次世代への責任を果たすために、住民福祉の向上や市民の皆様の安全・安心を第一に考え、職務にまい進してまいりました。市民の皆様、市議会の皆様のご協力やご支援に対し、この場をお借りして、改めて心より御礼申し上げます。
 4年間の総仕上げともいうべきこの一年を、引き続き、市議会の皆様と、緊張感と信頼感のある関係を築きながら、20 万市民のための市政を全力で進めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

はじめに

 世界の様相は刻々と変化し、日々そのスピードを増しております。
 令和4年2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻に加え、昨年は、パレスチナにおける紛争など、新たな問題も発生し、世界平和の根幹を揺るがしかねない状況となっております。
 平成27年9月に、ニューヨーク国連本部で国連持続可能な開発サミットが開かれ、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。目標年次である2030年(令和12年)までの折り返しを過ぎた今、貧困や飢餓、エネルギーや気候変動、平和的社会の達成に向け、各国、各地域において、更なる取組が求められております。
 SDGsは、持続可能な社会をつくるための世界共通の指針であり、地方自治体といたしましても、SDGsの理念を理解し、取組のスピードを速めるとともに、推進のための行動変容を促していく必要があります。
 本市といたしましても、政府がまとめた「SDGsアクションプラン」に掲げる、注力すべき8分野の優先課題を踏まえ、SDGsへの取組を進めてまいります。
 また、一人ひとりの主観的幸福感を表すwell-being(ウェルビーイング)の考え方を踏まえ、将来にわたって幸せに生活を送ることができる社会の構築に向け、各種施策を推進することで、市民の皆様の生活や暮らしが充実し、満足することのできる、「住んでよかった」、「住み続けたい」と思えるまちを目指してまいります。

新たなまちづくりに向けて

 令和6年度は、第3次総合計画をはじめとした、各分野の個別計画がスタートいたします。第1次、第2次の総合計画では基本理念を、「やさしさとふれあいの西東京に暮らし、まちを楽しむ」としてまちづくりを進めてまいりました。
 10年後の令和15年度を目標年次とする第3次総合計画では、これまでの、お互いを思いやり尊重できる「やさしさ」や、人と人との「ふれあい」といった言葉に込めた想いを継承しつつ、あらゆる変化や危機に対して、地域の皆様と「ともに」乗り越えていくこと、わたしたち一人ひとりが身近なことからまちづくりに関わり「自分ごと」として西東京市の未来を見つめ、まちづくりへの想いを次世代へとつないでいくために、基本理念を「ともにみらいにつなぐやさしさといこいの西東京」といたしました。
 この基本理念は、子どもからご高齢の方まで、本市に関わる多くの方々や多様な市民の皆様の参画によりつくられ、その思いが結実したものであると考えております。まちづくりの指針となる総合計画を推進することで、新たな時代に向けて、子どもたちが誇れる西東京市を創ってまいりたいと考えております。

若者の参画について

 若者とともにつくるまちづくりについて申し上げます。基本理念で掲げた「ともにみらいに」の言葉には、市民の皆様とともにまちを創っていきたいとの想いを込めております。
 特に、次世代を担う若者の新しい発想や感受性を尊重し、その視点や行動力をまちづくりに活かすことが、まちの活性化につながっていくと考えております。
 そのため、私は、若者のまちづくりへの参画を新たな政策の柱として掲げ、第3次総合計画の策定に併せて、若者がまちづくりに積極的に参画し、ともに地域課題の解決に向けて取り組むことのできる仕組みや、きっかけづくりなどを進めるなど、若い方々の力を地域の創生に活かしてまいります。

子どもが「ど真ん中」の政策について

 私は就任以来、「子どもが『ど真ん中』のまちづくり」、そして、「次世代への責任ある選択」を政策の基軸に掲げてまいりました。子どもを大切にするまち、また、子どもが安心して暮らせるまちは、そのご家族や周りの方々をはじめとして、誰もが安心して暮らせるまちであると思っております。
 私は、これからも子どもの権利が守られ、子どもたちが自由に学び、遊び、表現し、参加することのできる機会を充実させてまいります。
 令和6年度の取組といたしましては、令和5年4月に施行されたこども基本法に基づき、子どもの貧困対策や子ども・若者の健やかな育成と円滑な社会生活を支援する計画を包含した、子育ち・子育てワイワイプランを策定してまいります。
 また、子ども、子育て家庭、妊産婦の方に対して切れ目のない支援を行うため、新たに、こども家庭センターを設置し、母子保健と児童福祉の一体的な相談支援体制を構築する中で、包括的かつ計画的な支援による児童虐待等の未然防止に繋げてまいります。
 そして、多摩地域における先駆的な取組として、子どもの成長に必要な栄養とバランスのとれた豊かな食の提供や、「子どもが『ど真ん中』のまちづくり」を進めるため、本年4月より、公立小中学校に通う子どもたちの給食費について、子どもの人数や世帯の所得にかかわることなく、学校給食費の完全無償化を実施いたします。

次世代につなげる環境施策について

 次に、環境施策について、申し上げます。
 今を生きる私たちは、豊かな緑や健康的な住環境を未来の子どもたちに残していかなければなりません。ゼロカーボンシティの実現は、私たち一人ひとりの小さな行動から始まり、その想いを次世代にもつないでいくことで、持続可能な取組へと発展していきます。
 西東京市ゼロカーボンシティ宣言を行ってから2年が経過いたしました。これまで、公共施設のLED照明への改修や再生可能エネルギー由来の電力調達のほか、省エネルギー家電の購入助成など、地域における温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいりました。
 令和6年度からの第3次環境基本計画におきましては、家庭や企業などの部門ごとの取組方針を定めた、ゼロカーボンシティ戦略を位置づけるとともに、2050年(令和32年)の脱炭素社会の実現を目指したロードマップに基づき、地域における地球温暖化対策を進めてまいります。
 また、友好都市である北杜市において、間伐材を使用した木工体験などを行う環境学習事業を新たに実施するとともに、市内におけるエネルギー消費抑制のための学校施設や児童館、保育園のLED照明への改修や、省エネルギー家電等の購入助成を継続してまいります。

恒久平和の継承について

 次に、平和への取組について、申し上げます。
 私は、恒久平和への想いを子どもや若者たちと共有し、その歴史的教訓を後世に伝えていくことが平和を実現するための第一歩であり、その継続が平和への道になると考えております。
 昨年には、バングラデシュの児童労働とSDGsを通じて平和を考える、子ども・若者平和ワークショップを初めて開催するとともに、ひばりが丘図書館の原爆小文庫の活用などを進めてまいりました。2月23日には、平和への願いと西東京市にも戦争があった歴史を継承するため、田無駅北口の平和のリングの点灯にあわせたイベントを実施いたしました。
 また、昨年9月には、保谷第二小学校の5年生とウクライナから避難された方との平和交流会が行われ、子どもたちがつくった平和の歌が贈られました。
 歌には、国境や国籍、人種等を超えてみんなの心を一つにし、世界を平和へと導く力があります。私も、平和を願い、そして歌う子どもたちの心に触れて胸が熱くなるとともに、平和の尊さ、平和への取組の重要性を深く心に刻みました。
 引き続き、市民の皆様との協働により、子ども・若者平和ワークショップをはじめとした平和事業を推進するとともに、平和の象徴となる、ヒロシマの被爆樹木二世の苗木の植樹を行うなど、平和の意義の継承に取り組んでまいります。

本市の財政状況と令和6年度予算の概要

 主要な施策の内容の前に、本市の財政状況と令和6年度予算の概要についてご説明いたします。
 本市の財政状況は、令和4年度決算において、物件費や人件費等の歳出が増え、普通交付税や臨時財政対策債が減少したことなどにより、経常収支比率は93.1パーセントとなり、前年度比3.6ポイント上昇いたしましたが、前年度の決算を踏まえた積立額の確保と、その後の徹底した予算の執行管理によって、財政調整基金残高は、前年度から5億1,900万円増の44億3,200万円に回復いたしました。
 今後の歳入見通しでは、市税収入や税連動交付金は、堅調に推移すると見込んでおりますが、歳出面では、社会保障関係経費の増加に加えて、公共施設やインフラ施設の更新、職員人件費や基幹システム関連経費の増加など、大幅な行政需要の拡大が見込まれており、本市の財政は予断を許さない状況にあるものと考えております。
 令和6年度予算編成に当たりましては、市民サービスの維持・向上とともに、これまで掲げてきた、次世代への責任ある選択の考えに基づき、「子ども施策」、「環境施策」、「平和施策」の3つの柱を、さらに実効性のある取組として進めるとともに、「若者参画」につきましても新たな取組に着手してまいります。
 また、物価高騰等への対応といたしましては、給付金などの国の経済対策に適切に対応するとともに、市民生活や市内経済を幅広く下支えするための、本市独自の対策を実施してまいります。
 一方、持続可能で自立的な自治体経営の確立を目指し、これまで進めてまいりました公債費管理の徹底や、適切な予算の執行管理と行財政改革に努めながら、財政基盤の強化を図らなければならないと考えております。
 これらを踏まえ予算編成を行った結果、一般会計の当初予算額は、前年度比3.7パーセント増の 803億7,200万円となりました。
 歳入では、市税が前年度比1.4パーセント増の343億9,226万円、さらに地方交付税が3.8パーセント増の38億1,000万円と見込まれることなどから、一般財源総額は、前年度比2.6パーセント増の473億4,300万円となりました。
 歳出では、主に、総務費が12.9パーセント増の70億9,978万円、民生費が3.7パーセント増の457億9,038万円、教育費が12.7パーセント増の91億7,440万円となり、財政需要の拡大に繋がっております。
 次に、市債について、私が市長に就任した時点の令和2年度末市債現在高は、552億6,800万円でしたが、臨時財政対策債の借入抑制などの公債費管理の徹底を進めてきた結果、令和6年度末市債現在高見込額は、420億1,800万円となり、132億5,000万円の縮減が図られたことで、健全財政を保ちながら、安定した市政運営に努めております。
 また、財政調整基金繰入金は、義務的経費の増や物価高騰対策の実施などにより、前年度比5億900万円増の17億5,800万円となり、令和6年度末の見込現在高は、18億8,900万円と見込んでおります。
 今後の財政運営につきましては、限られた財源の中で、第3次総合計画をはじめとした、各分野の個別計画を着実に進めていくため、引き続き、公債費管理の徹底とともに、適切な予算執行と行財政改革の取組により、財政基盤の強化を図り、安定的で自立的な行財政運営を目指してまいります。

令和6年度の主要な取組

 令和6年度の主要な取組について、新規事業やレベルアップ事業を中心に、私が市政運営に臨むに当たって掲げた6つの重点的な取組に沿ってご説明いたします。

子どもにやさしいまち

 1点目といたしまして、「子どもにやさしいまち」についてでございます。
 「子どもが『ど真ん中』のまちづくり」を進めるにあたりましては、子どもに対する支援のほか、子どもの保護者やその関係者に対する支援、子どもが健やかに育つための環境の整備など、子どもにやさしいまちであることが重要と考えております。
 子どもが悩み事などを相談できる環境の充実に向けましては、昨年開始した子どもLINE相談に加え、スマートフォンやパソコンなどを持たない子どもが無料のミニレターで相談できる取組を試行的に実施し、相談しやすい環境づくりを進めてまいります。
 ヤングケアラーの方への支援につきましては、福祉・介護・医療・教育などの関係機関との連携を図り、学校などの子どもに身近な場所で早期に発見することで、適切な支援に繋げてまいります。
 次に、幼児教育・保育の充実についてでございます。
 保育所等におきましては、この間の施設整備等により、待機児童の解消が見込まれる状況となっております。今後は、子どもの健やかな成長と子育て家庭の孤立防止、育児不安の軽減を図る必要があることから、東京都版の子ども誰でも通園制度を活用し、幼稚園において、多様な他者との関わりの機会創出事業を実施してまいります。
 保育施設の整備といたしましては、市立保育園のトイレの洋式化や照明のLED化を行うほか、設備の老朽化が進む園につきましては、空調設備などの取替工事を進めてまいります。
 子どもの居場所となる学童クラブにつきましては、定員超過に対応するため、柳沢小学校の校庭に新たな学童クラブの建設を進め、令和8年1月の開設に向けて取り組むほか、市内の小学校2校及び中学校1校の教室等を利用し、過密化の解消に向けたタイムシェア事業を試行的に実施してまいります。
 また、全ての公営学童クラブにおきまして、宅配弁当サービスを活用することで、夏休みなどの長期休校中にお弁当を用意されている保護者の方の負担軽減を図ってまいります。
 子育てにおける経済的な負担軽減策といたしましては、国の子ども未来戦略方針に基づき、本年10月からの児童手当の所得制限撤廃と支給年齢の延長に適切に対応するとともに、ひとり親家庭の福祉の向上を図るため、養育費等確保支援事業に公正証書等作成費用を新たに加え、補助制度の拡充を図ってまいります。
 次に、学校教育についてでございます。
 学校教育は、全ての子どもたちが将来にわたって幸福で豊かな生活を送るために不可欠であり、昨今のグローバル化やデジタル化の進展などにも柔軟に対応し、自ら未来を切り開く力を身に着けるためにもその重要性は増しております。併せて、心理的又は社会的な要因等から不登校やひきこもりになる子どもへの支援や、より良い教育を受けるための学校環境の充実が必要となります。
 令和6年度につきましては、授業において、画像や動画などを交えて教えられる指導者用のデジタル教科書を購入し、教育の質の向上を図ってまいります。
 学校の組織体制といたしましては、昨年から大規模校に配置している、学年教育アシスタントを小学校全校に1人、大規模校には2人の配置を行ってまいります。また、サポートが必要な子どもへの介助や学習支援を行う学校生活支援員につきましても全校に配置してまいります。
 さらに、児童生徒の様々な課題の解決に向けて、子どもたちと直接関わり合いながら適切な支援に繋げるため、スクールソーシャルワーカーを拡充することにより、悩みや問題を抱える子どもに寄り添う体制づくりを進めてまいります。
 教育に関する相談窓口といたしましては、現在、就学相談や心理相談、言語相談など、様々な分野の相談窓口が併存しておりますが、令和6年度につきましては、既存の相談機能の見直しを行い、(仮称)教育支援総合窓口を設置し、相談体制のワンストップ化を進めてまいります。
 学校施設の整備といたしましては、今後、一斉に建替え時期を迎える学校施設について、令和6年度からの学校施設個別施設計画に基づき、計画的・効率的な建替え・改修等を進めてまいります。田無第三中学校につきましては、建替えに向けた学校建替協議会を設置し、地域の課題や特性に応じた他の公共施設との複合化や多機能化を検討するほか、体育館につきましては、教育環境及び避難所としての備えの充実を図るため、空調設備を設置してまいります。また、現在、空調設備が設置されていない小学校の給食室について、給食調理環境の改善に向けた環境調査を実施してまいります。
 図書館事業といたしましては、読書環境の更なる充実に向けて、子ども電子図書館サービスを継続するほか、保育園・児童館での乳幼児向け「おでかけおはなし会」や放課後子供教室への出張お話し会の開催など、図書館司書による他分野へのアウトリーチ型連携事業を推進してまいります。

健康で元気なまち

 2点目は、「健康で元気なまち」についてでございます。
 健康は、私たち一人ひとりの幸せと生活の質を向上させるだけでなく、まち全体の発展にも欠かせない要素であります。本市といたしましては、「人」と「まち」の健康を目指し、「健康になること、健康でいること」をみんなで応援できるまち、「『健康』応援都市」の実現に向けた各種施策を推進してまいります。
 はじめに、母子保健分野についてでございます。
 妊娠期からの切れ目のない支援として、産後の育児に対する不安や悩みに寄り添い、孤立を予防し、地域でのつながりを支えるためのベビーセーフティ事業を実施してまいります。また、初めて妊娠された方や新たに父親となる方の育児を支援するため、ファミリー学級の拡充を図ってまいります。
 次に、高齢福祉分野についてでございます。
 少子高齢化が進行する中、団塊の世代の方々が75歳以上となる2025年(令和7年)を控え、本市では、医療、介護、介護予防、住まい、生活支援が包括的に確保される、共生社会の実現を目指し、西東京市版地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいりました。引き続き、高齢者人口がピークを迎える2040年(令和22年)頃を見据え、西東京市版地域包括ケアシステムを、より一層深化・推進させていく必要があると考えております。
 令和6年度につきましては、フレイル予防とデジタルデバイドの解消に向けた取組として、身近な場所でeスポーツを体験できる機会を拡充させるとともに、機運醸成に向けたeスポーツ大会を開催してまいります。
 昨年から開始いたしました、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な取組につきましては、高齢者の抱える多様な課題に対応した支援を実施してまいりました。令和6年度からは対象を拡大し、高齢者一人ひとりの状態や生活環境に応じた、より身近できめ細かな支援を進めてまいります。
 認知症の方への支援につきまして、国の推計では、令和7年には高齢者の5人に1人が認知症になるとの予測がされております。誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、認知症に対する社会の理解を深め、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目指していく必要があります。令和6年度につきましては、「チームオレンジ」の活動を推進するとともに、もの忘れ予防検診の対象の拡大や認知症に関する効果的な啓発などを通じて、適切な医療・介護サービス等に繋げる体制を充実させてまいります。
 また、介護不安の解消に繋がる学びと対話の場を提供するため、プレケアラーや初期の家族介護者を対象とした民間事業者との連携による、ケアラーズスクールを本格実施してまいります。
 次に、障害福祉分野についてでございます。
 本市では、日常生活や様々な機会を通じて、障害のある方への理解や、合理的配慮に関する理解、啓発活動を行ってまいりました。令和6年度につきましては、障害のある方の居場所の充実や日常的に介護されている方の一時的な休息、保護者の方の就労やキャリアの継続等を目的として、夕方の居場所となる日中一時支援事業を拡充してまいります。
 次に、ひきこもり支援についてでございます。
 本市では、中学校3年生から30歳未満の生活に困窮されている方等を対象に、社会や人とのつながりの再構築を目指した居場所等の支援を行ってまいりました。一方で、30歳以上のひきこもり相談が増加しており、年代を問わない支援や居場所の拡充が急務であると認識しております。令和6年度につきましては、実態調査や家族セミナーの開催等を行うとともに、既存の就労準備支援事業との連携を強化し、社会参加へ向けた支援を行うなど、より幅広い年代に支援を拡充した、ひきこもり支援事業を実施してまいります。
 最後に保健事業についてでございます。
 本市の主要死因別死亡割合では、悪性新生物(がん)が最も多く、特に男性の胃がんによる死亡割合が東京都の標準よりも高くなっております。本市では、これまでも胃がん検診を実施してきたところではございますが、令和6年度からは、新たに胃内視鏡検診を導入し、がんの早期発見・早期治療に繋がるよう支援してまいります。
 また、生涯を通じて健やかに豊かで幸せな生活を送ることができるまちづくりを目指す自治体の研究会である、「スマートウエルネスシティ首長研究会」に加入し、「『健康』応援都市」の実現に向けた取組をさらに進めてまいります。 
 新型コロナウイルス感染症対策といたしましては、ワクチンの特例臨時接種が本年3月末日で終了となりますが、引き続き、市民の皆様に対しまして、丁寧な情報の提供を行うとともに、西東京市医師会とも連携しながら、地域医療体制の確保に努めてまいります。

集える場とつながりのあるまち

 3点目は、「集える場とつながりのあるまち」についてでございます。
 はじめに、文化・スポーツ分野についてでございます。
 子どもたちが多様な文化芸術に出逢い、親しみ、次世代の担い手として将来に継承していくため、市内で行われる子どもを対象とした文化芸術事業に対し、新たな補助制度を創設し、支援を通じた活動の場や機会の充実を図ってまいります。
 また、西東京市として初めての公民連携事業の取組となる、市民会館跡地活用事業につきましては、施設名称の公募を行い、「西東京市民文化プラザ」として、本年12月に供用開始となる予定でございます。開設に当たりましては、地域の皆様への周知を兼ねたイベント等を開催するなど、西東京市の新たな文化施設、地域交流の拠点として、多くの方にご利用いただける施設としてまいります。
 タクトホームこもれびGRAFAREホールにつきましては、令和6年5月からの全館利用の再開に向けた改修工事を進めており、コール田無につきましては、4月からネーミングライツを導入し、施設の愛称を「J:COM(ジェイコム)コール田無」として、今後も市民の皆様の文化芸術活動を支えてまいります。
 また、市民の皆様の自主的な文化活動や社会教育などの学習支援を充実させるため、公民館全館への公衆無線LAN環境を整備してまいります。
 スポーツを通じた繋がりにつきましては、本年夏に開催される2024年パリオリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、ボッチャなどのパラスポーツの普及啓発やインクルーシブスポーツの体験機会の充実に取り組んでまいります。
 スポーツ施設の整備といたしましては、南町スポーツ・文化交流センター「きらっと」の空調設備更新に向けた実施設計を行うとともに、芝久保第二運動場の返還により課題となっております、新たなテニスコート等の確保につきましては、市有地の活用等を含め、引き続き、検討してまいります。
 次に、多文化共生についてでございます。
 近年では、外国籍の子どもが増加しております。日本語を母国語としない子どもたちの地域での学習や相談、交流の拠点を、多文化キッズサロンとして整備するとともに、困りごとや悩みに寄り添い、必要な情報や支援が届くよう、多文化キッズコーディネーターを配置するなど、学校や地域、NPO等と連携した取組を行ってまいります。
 最後に、文化財についてでございます。
 下野谷遺跡につきましては、竪穴式住居や土器だまりを整備し、縄文時代の村とその景観である縄文里山を復元したところでございます。
 今後は、年代を問わず国史跡である下野谷遺跡に興味と愛着を持っていただけるよう、史跡の保護についての意識醸成や活用を進め、「縄文から未来へ したのやから世界へ」のコンセプトのもと、下野谷遺跡の魅力を広く発信し、未来へつないでまいりたいと考えております。

安心・安全で快適なまち

 4点目は、「安心・安全で快適なまち」についてでございます。
 はじめに、まちづくりの分野についてでございます。
 令和6年度からの次期都市計画マスタープランにおきましては、市内5駅とひばりが丘団地周辺を将来都市構造の拠点として、多様な都市機能の誘導や、にぎわいと交流の場の創出に努めてまいります。併せて、都市計画マスタープランで示す方向性を踏まえ、低層住宅地区の防災性や住環境の向上に向けた用途地域等の見直しを行ってまいります。
 都市計画道路の整備につきましては、田無駅南口の交通広場の用地取得が一定程度進み、南側に伸びる街路についても事業着手に向けて測量・概略設計等を行っております。一方で、本市の都市計画道路の整備率は未だに低い水準となっており、市内の交通アクセスの円滑化を図るため、令和6年度につきましては、西東京都市計画道路3・5・10号線の一部区間の事業着手に向けた設計や測量等を行ってまいります。
 西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業につきましては、東京都において、令和5年度中に都市計画事業認可を得て、令和6年度から事業が実施されると伺っております。本市といたしましては、連続立体交差事業に関連する鉄道付属街路のうち、市が事業主体となるまちづくり側道の用地取得に向けて土地の鑑定等を行うほか、地域の皆様などで構成する、(仮称)まちづくり協議会を設立し、踏切が除却された後のまちの将来像である、東伏見駅周辺地区まちづくり構想を実現するための取組について検討してまいります。
 次に、公共交通についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により減少していた公共交通利用者は、徐々に回復傾向にありますが、依然としてコロナ禍前の水準には戻っておらず、近年の物価高騰や人件費の上昇、全国的な運転士の不足などが事業継続の課題となっております。
 今後は、既存の公共交通の利用促進や道路等の基盤整備に合わせた新たな公共交通の導入を検討するとともに、市内の公共交通空白地域における移動需要への対応が必要であると考えております。令和6年度につきましては、利用者に公共交通の情報が届きやすくなるよう、はなバスの停留所の位置や時刻表等のデータをオープン化していくとともに、公共交通空白地域における移動ニーズを把握し、新たな公共交通の実証実験に向けて検討してまいります。
 交通安全対策につきましては、令和5年度から開始した自転車用ヘルメットの購入助成事業を令和6年度も継続するとともに、全年代を対象とした交通安全イベントを実施してまいります。
 次に、みどりに親しむまちづくりについてでございます。
 市民に憩いを与え武蔵野の面影を今に伝える、下保谷四丁目特別緑地保全地区を未来へと継承していくため、令和6年度につきましては、地域の方々と協力しながら植生管理などの保全活動や、常時の一般開放に向けた施設環境を整備するとともに、屋敷林の魅力を市内外に向けて発信してまいります。
 公園施設といたしましては、新たに公園改修計画を策定し、施設の安全対策強化のため、予防保全の観点による補修や計画的な更新を進めてまいります。
 次に、都市インフラ関係についてでございます。
 雨水溢水対策といたしましては、新町五丁目地内において対策工事を行うとともに、北原町一丁目地内における雨水溢水対策に向けた実施設計等を行ってまいります。また、老朽化が懸念される旧日特管につきましては、老朽化対策に向けた基礎調査を行ってまいります。
 次に、住宅セーフティネットについてでございます。
 高齢者や障害者、子育て世帯など、住宅の確保に配慮が必要な方の増加が見込まれる一方で、民間の空き家、空き室も増加してきております。より多くの住宅確保要配慮者が安心して住まいを確保できるよう、令和6年度につきましては、家主に対する専用住宅改修費補助制度を継続するとともに、家賃低廉化補助制度の活用を促進してまいります。
 空き家対策といたしましては、昨年の空き家対策の推進に関する特別措置法の改正等を踏まえ、特定空き家に加え、管理不全空き家の適正管理に向けた取組を進めるとともに、老朽危険空き家の除却費用助成や財産管理人選任申立を継続して行ってまいります。また、空き家バンクにつきましては、登録や活用の促進に繋げるため、所有者の意向調査に応じた働きかけや相談機能の強化を図ってまいります。
 最後に、防災分野についてでございます。
 気候変動に伴う自然災害の大型化、激甚化、頻発化が進む中で、災害対策の強化は急務であります。令和6年度につきましては、東京都地域防災計画(震災編)の修正などを受けて、西東京市地域防災計画を修正するとともに、BCPを含む災害対応等に係る各種マニュアルの修正を行ってまいります。
 災害時の避難所となる学校施設におきましては、避難所の環境充実を図るため、マンホールトイレの整備時期を見直し、令和7年度までに全校へ配備してまいります。併せて、災害時の拠点となる庁舎の非常用自家発電機につきましては、更新等に向けた基本・実施設計を行ってまいります。
 また、地域における防災対策の取組を促進するため、マンションのエレベーター内の閉じ込め対策となる防災キャビネットの設置等について、防災市民組織補助金の制度内容の見直しを行うなど、自助・共助の底上げを図ってまいります。

市民とともに発展するまち

 5点目は、「市民とともに発展するまち」についてでございます。
 はじめに、学校を核としたまちづくり、地域づくりについてでございます。
 学校を核としたまちづくりといたしましては、「学校が地域のキーステーション」であるとの認識のもと、歩いて行ける距離や市内公共施設の配置バランス等を考慮しつつ、中学校を中心とした範囲を「中学校区」として、まちづくりを進めてまいります。今後は、公共施設再編計画に基づき、学校の建替えに併せて、学校の教育環境や子どもたちの安全に配慮したセキュリティ対策を前提としつつ、市民にとって身近な相談窓口や地域のコーディネート機能、子ども・子育て機能などの行政サービス機能を展開する中で、効果的な複合化・多機能化に取り組み、地域連携の強化や活性化を進めてまいります。
 これらにより、学校施設の公益性が高まることから、教育環境を確保しつつ、地域住民にとっても将来にわたり地域の核となるよう、都市計画制度の活用も検討してまいります。
 また、地域と学校が連携・協働して、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるためのコーディネーターとなる、地域学校協働活動推進員を全校に配置し、地域の活性化に向けた多様な活動を持続的に実施するための仕組みづくりを推進してまいります。
 中学校の部活動におきましては、休日の生徒の部活動を教員が指導する形から、地域の団体や民間企業などと連携し、教員以外の方が指導を行う、部活動の地域移行が全国で進んでおります。令和6年度からは、中学校部活動移行検討委員会を設置し、地域連携や地域移行について検討してまいります。
 次に、地域コミュニティについてでございます。
 地域コミュニティの再構築や地域の活性化を進めていくためには、地域コミュニティに関わる様々な組織の活動が充実し、次世代の担い手となる若者の参画や、地域間での連携・協力できる体制を構築していくことが重要となります。令和6年度につきましては、これまでのNPO等企画提案事業などの補助制度を見直し、29歳以下の若者のチャレンジを支援する仕組みや、NPO、市民活動団体、自治会や町内会などが地域で連携して取り組む事業を支援する仕組みを創設するなど、更なる地域の活性化に取り組んでまいります。
 令和4年度に解体が終了した旧ひばりが丘中学校跡地につきましては、令和6年度からの学校施設個別施設計画を踏まえ、地域の特性に沿った跡地利用について、地域の皆様とともに検討してまいります。
 また、保谷庁舎跡地の活用に向けましては、改めてサウンディング調査を実施した上で、市民や事業者の皆様からのご意見等を踏まえ、保谷庁舎敷地活用基本方針の見直しを図ってまいります。
 最後に、産業・農業振興対策についてでございます。
 これまで、本市では、キャッシュレス決済ポイント還元事業や市内消費喚起事業のほか、急激な物価上昇に対し、市内事業者物価高騰等対応支援事業等を実施してまいりました。令和6年度につきましては、引き続き、キャッシュレス決済ポイント還元事業を実施することで、市内中小企業・個人事業主や消費者の皆様の支援を行ってまいります。また、安全で安心なイベントの開催に向けた支援として、商店街活性化推進事業補助金の補助率の拡充を継続するとともに、若者や女性の創業を支援するため、チャレンジショップ事業の拡充を図ってまいります。
 農業振興といたしましては、高齢者や障害のある方との連携による市内産農産物の活用促進事業など、農業者の販路拡大や農業を通じた就労や生きがいづくりの場を創出する、農福連携について検討してまいります。

行財政基盤の強化を絶えず目指すまち

 重点的な取組の最後といたしまして、行財政基盤の強化、充実についてでございます。
 第3次総合計画で掲げた目指すべき将来像の実現に向けましては、財源や人員といった行政資源の確保が必要であり、将来にわたり市民生活に必要なサービスを維持・継続していくためには、持続可能で自立的な自治体経営を行うことが重要となります。
 第5次行財政改革大綱に基づく取組を進める中で、ふるさと納税における返礼品の拡充や公園遊具の更新におけるクラウドファンディングの活用のほか、はなバスのバス停へのネーミングライツの導入など、新たな財源の確保による財政基盤の強化に努めるとともに、BPRの推進による業務の効率化や効果的なサービス提供の仕組みづくりに取り組んでまいります。
 また、市民の皆様の利便性の向上に向けて、行政手続のオンライン化や情報システムの標準化・共通化に取り組むとともに、誰一人取り残さない人にやさしいデジタル化を進めるため、デジタルデバイド対策に取り組んでまいります。
 公共施設等の老朽化対策につきましては、公共施設等総合管理計画等に基づき、安全・安心で快適な行政サービスを継続して提供するとともに、将来世代に過度な負担を残さないよう、公共施設の量と質の最適化やライフサイクルコストの適正化を図るなど、総合的かつ計画的な管理を、より一層推進してまいります。
 また、社会経済情勢等が大きく変化する中で、行政においても、その変化に柔軟に対応できる人づくりや、将来を見据えた組織への転換が必要となっております。そのため、組織改正に向けた検討を進めるとともに、市民サービスの維持・向上や人材の確保に向けて、人材育成基本方針の改定を踏まえ、職員のエンゲージメントの向上による組織の強化や、働きやすい職場環境の整備など、自ら成長し続ける職員の育成に取り組んでまいります。

結びに

 結びとなりますが、今年の市報1月1日号では、学生を中心としたNPO団体の「MURP」の方々と、地域活動を通じた平和に対する想いについて、対談をさせていただきました。対談では、若い方々が人と人とのつながりを大切にされ、自分たちも楽しみながら地域の活性化に継続して関わっていきたいという強い気持ちが伝わってきました。このような活動の積み重ねが、西東京市を住み続けたいと思える魅力あるまちにしていることを、深く実感したところでございます。
 私たちも西東京市を未来へとつないでいかなければなりません。
 私たちが見つめる10年先のまちのビジョンを追求し、夢と希望が溢れるこの素晴らしい西東京市を市民の皆様とともに、より発展させていきたいと考えております。
 令和6年度からは、第3次総合計画と第5次行財政改革大綱を両輪としたまちづくりが始まります。これまでの新型コロナウイルス感染症や物価高騰などによる苦難を乗り越え、市が直面する様々な課題に対応し、更なる成長と持続可能な運営を実現してまいります。私は、西東京市民の健康や生命、生活の質の向上と、まちの持続可能性の両立に向けて、市長として、その先頭に立って取り組む覚悟でございます。
 最後に、市議会の皆様並びに市民の皆様の更なるご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和6年度の施政方針といたします。

お問い合わせ

このページは、企画政策課が担当しています。

市役所田無庁舎 〒188-8666 西東京市南町五丁目6番13号

電話:042-460-9800

ファクス:042-460-7511

お問い合わせフォームを利用する

本文ここまで