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市長施政方針(令和5年2月24日)

ページ番号 606-570-034

最終更新日 2023年3月3日

 令和5年第1回西東京市議会定例会の開会に当たり、令和5年度の市政運営の基本方針について所信を申し述べ、市民の皆様並びに市議会の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 所信を述べるに先立ちまして、28人の議員の皆様には、昨年末の西東京市議会議員選挙において、当選の栄誉を得られましたことに、心からお慶びを申し上げます。
 私は、市議会の皆様とともに、緊張感と信頼感のある関係を築きながら、20 万市民のための市政を全力で前に進めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

施政方針を表明する池澤隆史市長

市議会定例会の本会議場

はじめに

 新型コロナウイルス感染症の猛威は世界を一変させ、我が国の経済活動に甚大な打撃を与えるとともに、私たちの社会生活にも大きな影響を及ぼしております。新型コロナウイルスは、今なお各地で独自の変異を繰り返しながら進化を続けておりますが、我々は、コロナとの共生を模索しつつ、新しい次の時代へと進む必要があります。
 令和4年2月に始まった、国際秩序の根幹を揺るがすロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、一年を過ぎた今日も続いており、戦禍により子どもたちを含む多くの人々が犠牲になっています。私たちは改めて平和の尊さを実感するとともに、戦争により亡くなられた方々、そのご家族の皆様に深く哀悼の意を表したいと思います。
 本市といたしましても、令和4年3月3日には、駐日ロシア連邦大使館に、侵攻の即時停止と平和的解決を訴える抗議文を送付いたしました。また、市議会の総意となる軍事侵攻を非難する決議も行われており、一日も早い紛争の解決とウクライナの方々の生活が元に戻ることを切に願っております。そして、本市にお住まいのウクライナから避難された方に対しましても、安心して生活ができるよう、引き続きサポートしてまいりたいと思います。
 さて、市長に就任して2年が経過し、任期の折り返しを迎えました。
 市長就任以来、私は、時間の許す限り、行事やイベント、集会や説明会、計画策定におけるワークショップなど、市内で開催される様々な「場」に赴き、多くの市民の皆様をはじめ、未来の宝であり、将来の西東京市を担う多くの子どもたち、そして若者たちと対話をさせていただきました。
 日頃のお困りごとやご苦労、西東京市のまちづくりについてのご意見などを直接お聴きするとともに、子どもたちの未来を見つめる真剣な眼差しに触れ、市民の皆様がこのまちに住んで良かった、住み続けたいと思える、次の10年、20年先の未来を見据えたまちづくりを進めてまいりたいと、決意を新たにしたところでございます。
 令和5年度は西東京市の最上位計画となる第3次基本構想・基本計画をはじめ、各種個別計画を策定するとともに、全体の計画策定のタイミングに合わせて、将来のまちのイメージとなる西東京市のグランドデザインを策定いたします。ゼロカーボンシティへの取組やデジタル社会への対応、SDGsの視点や行政サービスにおけるエリア(圏域)の考え方等を踏まえ、私が掲げる「子どもにやさしいまち」、「子どもが『ど真ん中』のまちづくり」、そして、「次世代への責任ある選択」を基軸として、未来の素晴らしい西東京市を創り上げるため、地域の皆様とともにまちづくりを進めてまいります。私は、市長としてその先頭に立って取り組む所存でございます。

恒久平和への願いについて

 78年前の昭和20年4月12日、田無駅北口を中心とした爆撃により百名以上の命が一瞬で奪われました。この大空襲の歴史を、私たちは決して忘れてはなりません。「戦争は絶対にいけない」との強い想いは、西東京市平和推進に関する条例の制定につながり、その日を「西東京市平和の日」といたしました。そして、多くの市民の方々の協力を得て、西東京市誕生一周年となる平成14年1月21日には、非核・平和都市を宣言しております。
 宣言に込められた「この声と願い」を現実のものとするためには、私たちの行動が求められております。旧田無市の初代市長である指田吾一氏の「原爆の記」には、「人間の不幸は戦争以上のものはない。多くの人びとにそのことを、よくよく知ってもらわねばならぬ。」とあります。私は、平和の尊さを心に刻み、戦争を二度と起こさない、また、起こさせないとの想いを次世代の方々とも共有する中で、この西東京市から恒久平和への強い想いを発信してまいりたいと思っております。
 令和5年度につきましては、これまでの「西東京市平和の日」記念行事などの平和推進事業に加え、(仮称)子ども・若者平和ワークショップを開催し、平和について、未来のために今の自分たちに何ができるのかを考える機会としてまいります。
 また、ひばりが丘図書館の原爆小文庫の活用と拡充を進めるとともに、平和のシンボルである田無駅北口の平和のリング等を復活させ、歴史的教訓を後世に伝えるための取組を進めてまいります。

新型コロナウイルス感染症対策について

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 本市では、西東京市医師会のご協力のもと、ご希望される皆様への、新型コロナウイルスワクチン接種を迅速かつ着実に進めてきており、市独自の食料支援や、自宅療養者サポート受付の開設など、陽性者及びご家族の方への支援体制も充実させてまいりました。 
 令和5年度につきましても、感染症対策として、引き続き、西東京市医師会と連携した地域医療体制の確保及び療養される方等へのサポートを継続させ、市民の皆様の生命(いのち)と暮らしを守り抜いてまいります。

次世代につなげる環境施策について

 次に、環境施策について、申し上げます。
 脱炭素社会の実現を目指し、地域全体で環境負荷の少ないまちを次世代につなぐため、昨年2月に、「西東京市ゼロカーボンシティ宣言」を行いました。
 令和5年度につきましては、省エネ型家電の買替えなどの環境に配慮した製品に対する助成制度を導入し、地域における温室効果ガス排出量の削減を目指してまいります。また、姉妹都市・友好都市と連携し、温室効果ガスの削減活動に投資するカーボンオフセット事業の検討を進めるとともに、幼少期からの環境学習にも力を入れてまいります。
 公共施設におきましては、再生可能エネルギー由来の電力調達を進めるほか、「西東京市公共施設環境配慮指針」に基づき、環境に配慮した公共施設の整備に積極的に取り組み、令和5年度につきましては、市庁舎、図書館、公民館、文化、スポーツ施設において、LED照明への改修を進めてまいります。また、現在策定中の第3次環境基本計画におきまして、2050年までのゼロカーボンシティの実現に向けた具体的な取組について検討してまいります。

利便性の向上に向けた「DX(デジタルトランスフォーメーション)」について

 次に、デジタル施策について、申し上げます。
 日常生活の様々な場面でのデジタル化が加速しております。「ニューノーマル(新しい常態)」の生活様式に対応するには、制度や仕組み等のあり方をデジタル化にあわせて変革する、「デジタルトランスフォーメーション」が必要となります。
 令和5年度につきましては、庁舎に来られた方が申請書に氏名等を記入することなく手続が可能な「書かない窓口」を開設するとともに、スマートフォンやパソコン等で申請が行えるオンライン手続を拡充してまいります。
 また、地域の課題や行政サービスの向上を、民間によるテクノロジーを活用して改善するための、東京都の官民共創デジタルプラットフォームを活用し、地域課題等に対応したデジタル実装に向けて検討してまいります。
 併せて、急速に進展するデジタル化における情報格差(デジタルデバイド)に対応するため、地域におけるスマートフォン相談会や体験会などを継続するとともに、デジタルネイティブ世代といわれる市内大学の学生と協働し、対策案を検討するなど、誰もが安心してICTによる利便性を享受できる取組を進めてまいります。

本市の財政状況と令和5年度予算の概要

 主要な施策の内容の前に、本市の財政状況と令和5年度予算の概要についてご説明いたします。
 本市の財政状況は、令和3年度決算において、経常収支比率は、前年度比4.5ポイント改善の89.5パーセント、また、財政調整基金残高は、前年度から5億4,100万円増の39億1,300万円に回復いたしましたが、今後の社会経済情勢等の動向を踏まえると、決して楽観視できる状況ではないと考えております。
 歳入面では、市税収入や税連動交付金は堅調に推移すると見込んでおりますが、歳出面では、引き続き、社会保障関係経費の増加をはじめ、公共施設やインフラの更新が控えており、財政需要の増加は避けられない見通しであると認識しております。
 このような財政状況ではありますが、令和5年度予算編成にあたりましては、市民サービスの継続とともに、次世代への責任ある選択の考えに基づき、「子ども施策」、「環境施策」、「平和施策」の3つの柱と併せ、DXの推進による市民生活の向上や業務の効率化に向けた事業を予算化いたしました。
 また、新型コロナウイルス感染症への対応や原油価格・物価高騰などにつきましても、引き続き、市民生活や市内経済の動向把握に努め、適時適切な対応を図ってまいります。
 一方で、持続可能で健全な自治体運営を目指すためには、公債費管理の徹底や適切な予算の執行管理、行財政改革の取組による財政基盤の強化を図る必要がございます。
 これらの認識のもと、予算編成を行った結果、一般会計の当初予算額は、前年度比0.5パーセント増の 774億9,000万円となりました。
 歳入では、地方交付税が4.9パーセント減の36億7,000万円となりましたが、市税が前年度比5.1パーセント増の339億1,817万円と堅調な推移が見込まれることなどから、一般財源総額は、前年度比3.5パーセント増の461億6,043万円となりました。
 歳出では、総務費が11.7パーセント減の62億9,109万円、土木費が8.1パーセント減の50億5,098万円となった一方で、民生費は3.4パーセント増の441億7,092万円となり、社会保障関係経費の増加が続いております。
 次に、市債現在高は、臨時財政対策債の発行可能額全額を借入抑制することにより、市債全体の借入れを抑えたことで、令和5年度末の市債現在高は、前年度から約37億5,400万円減の461億4,200万円と見込んでおります。
 また、財政調整基金繰入金は12億4,900万円で、新型コロナウイルス感染症及び物価高騰対策の実施などにより、前年度比5億9,000万円増となりましたが、令和5年度末の見込現在高は約30億3,100万円と見込んでおります。
 今後の財政運営につきましては、市民の皆様からの様々なニーズに対応するため、これまでに実施してきた取組の効果を検証しつつ、効果的な対策を講じるとともに、限られた財源を真に必要な事業に配分することで、安定的で自立的な行財政運営を目指してまいります。

令和5年度の主要な取組

 令和5年度の主要な取組について、新規事業やレベルアップ事業を中心に、私が市政運営に臨むに当たって掲げた6つの重点的な取組に沿ってご説明いたします。

子どもにやさしいまち

 1点目といたしまして「子どもにやさしいまち」についてでございます。
 私は、施策推進において、「すべての子どもの命を大切にし、健やかに育つこと」を基本としてまいりました。
 令和5年度の取組といたしましては、はじめに、子どもからの相談体制の充実であります。本市の子ども条例や、本年4月から施行されるこども基本法では、意見表明や参加機会の確保、子どもの意見を尊重して主体的な活動を支援するための環境づくりが定められております。長引くコロナ禍の影響などにより、子どもたちを取り巻く環境は、大きく変化しております。子どもたちに寄り添い、心身ともに健康な育ちを支えるためには、相談しやすい環境の充実が必要です。若年層の多くはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をコミュニケーション手段として利用されていることから、8月から、新たに子どものLINE相談を開始してまいります。
 次に、幼児教育・保育の充実についてでございます。
 子育て環境の充実につきましては、令和4年度に認可保育園1園、小規模保育事業2施設を開設したところではございますが、今後も1歳児の保育需要の増加が見込まれることから、1歳児の受入枠の拡大や0歳児の一時保育事業の拡充を図ってまいります。
 誰もが安心して子育てできる環境づくりにつきましては、子どもたちの衛生環境の向上と保護者の負担軽減を図るため、子どもたちが保育園で使用する布団やシーツの交換等について、改善してまいります。
 また、幼稚園や保育園が行う安全対策に対し、経費の一部を補助する制度を構築するとともに、保育中の室内活動を見守るためのカメラを導入し、子どもたちの安全を守ってまいります。
 保育施設の整備といたしましては、市立保育園1園の空調設備取り換え工事を実施するほか、市内4箇所の市立保育園について、トイレの洋式化を進めてまいります。
 続きまして、学童クラブ事業では、田無柳沢学童クラブの過密化解消を図るため、教育委員会と連携し、令和7年度からの開始に向けて、柳沢小学校の敷地内に学童クラブを整備し、定員の拡充を図ってまいります。
 次に、学校教育についてでございます。
 近年の学校を取り巻く課題は複雑化・多様化し、学校に求められる役割が拡大する中で、学校教育の更なる充実が求められております。子どもたちと向き合う時間の確保や地域との連携強化に取り組むことが大変重要と認識しております。
 令和5年度につきましては、授業の質の向上や組織体制の強化を図るため、「学年教育アシスタント」を学級数の多い小学校8校へ配置してまいります。
 また、子どもの読書活動の充実に向けましては、現在2校に1人としている学校司書の配置を3校に2人に増員し、小中連携や公共図書館との連携による読書活動の質の向上に努めてまいります。
 併せて、図書館事業といたしまして、読書環境の充実に向けて、子ども電子図書館サービスを導入するほか、児童館での読み聞かせ会などを通じた、家庭と地域、学校が連携して本に触れる機会を増やす取組を推進してまいります。
 なお、GIGAスクール事業でお配りしたタブレット端末につきましては、文部科学省のデジタル教材システムMEXCBT(メクビット)の利用を進めることで、学校や家庭においてオンライン上で学習やアセスメントができる環境を整えてまいります。
 学校施設の整備といたしましては、小中学校の体育館トイレについて、災害時の避難所になることも踏まえ、トイレの洋式化などの改修を実施してまいります。また、児童生徒数の推移を見極めつつ、将来に向けた効率的な整備や費用の平準化などを図るため、「西東京市学校施設個別施設計画」を策定してまいります。

健康で元気なまち

 2点目は、「健康で元気なまち」についてでございます。
 本市は、市民お一人おひとりの健康はもとより、まちを健康にするという、「『健康』応援都市の実現」を目標として掲げ、健康になること、健康でいることを皆で応援できるまちづくりに取り組んでおります。
 はじめに、母子保健分野についてでございます。
 地域で安心して子どもを産み育てたいと考えているご家庭を応援、後押しするため、令和5年度につきましては、国や東京都の交付金を活用し、経済的支援と様々なニーズに即した必要な支援につなぐ相談支援を連動させ、育児パッケージなどを配付してまいります。また、ご家庭の状況を踏まえた伴走型の相談支援を充実させ、妊娠・出産・子育て期において切れ目なく支援してまいります。
 多胎妊娠の方には、身体的負担や健診回数が増えることによる経済的な負担を踏まえ、健康診査費用の自己負担分の一部を助成するとともに、ご負担が軽減されるよう健診費用の償還払いを実施してまいります。
 また、子宮頸がん9価ワクチンの定期接種化に併せて、任意接種を自費で受けられた方に対しまして、償還払いを実施してまいります。
 次に、高齢福祉分野についてでございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響による外出機会の減少が長期化していることで、日常生活において大切な、人とのつながりや心身の機能低下が懸念されています。
 本市では、第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画におきまして、地域でのつながり方や日頃のお付き合い、専門的な支援など、様々な支えの中で市民の力と専門職のチーム力を生かした、西東京市版の地域包括ケアシステムの構築を進めているところでございます。
 令和5年度につきましては、高齢者の社会参加を促進し、フレイル予防につなげるため、「eスポーツ」の実施環境を充実してまいります。併せて、生活習慣病等の重症化予防と介護予防の一体的な実施を推進するための体制を構築し、個々の状況に合わせたハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチを効果的に実施する中で、高齢者が住み慣れた地域でいつまでも元気に生活できるよう取り組んでまいります。
 認知症の方への支援につきましては、超高齢社会の進展とともに、より実効性のある支援体制が重要となっております。令和5年度につきましては、早期発見・早期対応のため、市内医療機関にご協力をいただいている「もの忘れ予防検診(認知症検診)」を、健康診査と連携して受診いただける取組としてまいります。また、市域全体で認知症対策に取り組むため、地域包括支援センターに配置している認知症地域支援推進員の体制強化を図り、「チームオレンジ」等をはじめとする地域づくりを進めるとともに、各種支援の面的プロデュース機能を充実させ、情報共有や情報発信などを含めた支援体制を拡充してまいります。
 次に、障害福祉分野についてでございます。
 本市では、障害のある方もない方も、学校、職場、地域の中で交流し、ともに支えあう「共生社会」の実現を目指し、障害のある方が地域で安心して健康的に暮らせる環境づくりを進めてまいりました。
 昨年5月に施行された、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法では、情報取得手段の選択や、障害のない方と同一の情報を同一時点で取得できるようにすること等が示されております。
 令和5年度につきましては、手話通訳者の派遣等のコーディネートについて、受付体制を拡充するなど、サービスの充実を図ってまいります。
 また、昨年4月に締結いたしました、SOMPOグループとの包括連携協定に基づき、多様な障害のある方々への就労支援の取組について、更に進めてまいります。

集える場とつながりのあるまち

 3点目は、「集える場とつながりのあるまち」についてでございます。
 はじめに、この間、新型コロナウイルスの感染拡大により中止としておりました市民まつりにつきましては、感染対策を実施した上で、環境への配慮や、子どもたちが楽しめるよう工夫し、市民の皆様の連帯感の醸成やコミュニティ形成の機会となるよう取り組んでまいります。
 公民連携による市民会館跡地活用事業につきましては、跡地活用事業者による施設整備が始まります。令和6年度の供用開始に向けて、跡地活用事業者との連携・協議を重ねてまいります。
 また、イングビル2階の空きスペースにつきましては、会議室としてリニューアルを実施してまいります。
 次に、文化・スポーツ分野についてでございます。
 保谷こもれびホールにつきましては、令和5年度から令和6年度にかけて、メインホールの環境改善やトイレの洋式化工事等を行います。工事に伴い、一定期間ご不便をおかけいたしますが、丁寧な周知に努めてまいります。また、この4月から、ネーミングライツの導入により、施設の愛称は、「タクトホームこもれびGRAFAREホール」となります。文化芸術活動の拠点として、より一層、市民の皆様に愛されるホールとしてまいります。
 次に、スポーツを通じたつながりについてでございます。
 令和4年度から南町スポーツ・文化交流センター「きらっと」に設置したスポーツ相談窓口では、相談者の支援と併せて、スポーツを通じた人とのつながりや共生社会への理解が広がっております。令和5年度につきましては、「共生社会」へ向けて、西東京市体育協会とも連携し、年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめるボッチャ大会やENJOYニュースポーツ事業のほか、指定管理者によるインクルーシブスポーツの体験会など、パラスポーツの普及を通じたレガシーの醸成を進めてまいります。
 また、スポーツ施設の整備といたしましては、各屋内施設のLED照明への改修を実施するほか、総合体育館の防水改修工事を実施いたします。
 次に、市民協働についてでございます。
 まちをつくるには、市民の皆様と行政が互いに地域づくりの目標に向かって対等な協力関係のもと、協働して取り組むことが重要です。令和5年度につきましては、令和3年度から開始した、「子ども・地域応援企画提案事業」の所管を協働コミュニティ課に移管した上で、今後は、「NPO等企画提案事業」とともに、子どもたちの応援や地域づくり、そして人材づくりといった、本市の新たな魅力の創出につなげる市民活動を、地域の皆様と協働で推進してまいりたいと考えております。
 次に、中央図書館につきましては、現在、午前10時からとなっている開館時間を午前9時からに変更し、利用者や地域の皆様の様々なライフスタイルに合わせたサービスを提供してまいります。
 次に、文化財についてでございます。
 下野谷遺跡につきましては、「したのや縄文里山プロジェクト」として、令和4年度に竪穴式住居2棟、土器溜まり1基を復元しているところでございます。
 今後は、用地取得による史跡の追加指定を進めるとともに、復元した竪穴式住居などを活用しながら、「縄文の森の秋まつり」などによる普及啓発事業を市民の皆様とともに実施してまいります。併せて、子どもたちがVRなども活用して文化財に触れる機会を増やすことや、各地域でその価値を伝える講座を実施するなど、地域と学校が一体となって文化財保護の気運を醸成し、未来に残してまいります。
 三菱UFJ銀行が所有する武蔵野運動場につきましては、「MUFG PARK」として、本年6月の一般開放が予定されており、地域における新しい交流広場となることが期待されております。スポーツ広場や新設のコミュニティライブラリー、芝生広場や樹林地などがあり、貴重な環境を生かした活動、体験、学びのフィールドとなる予定でございます。開園後には、地域に開かれた公園として連携していきたいと考えております。

安心・安全で快適なまち

 4点目は、「安心・安全で快適なまち」についてでございます。
 はじめに、まちづくりの分野についてでございます。
 都市計画マスタープランにつきましては、次期計画の策定に向けて、本市の人口特性や都市構造上の課題、現行計画の達成状況等を分析してまいりましたが、令和5年度につきましては、みどりと調和した快適でゆとりのある住宅都市の構築を目指し、都市計画マスタープランと立地適正化計画を合わせた新たなまちづくり計画を策定してまいります。
 まちにおける公共交通の結節点である駅前広場につきましては、老朽化が進んでいる田無駅北口ペデストリアンデッキの維持管理等工事や、保谷駅南口のペデストリアンデッキの点検調査を実施し、安全な歩行空間の維持などの環境整備に努めてまいります。
 田無駅南口の西東京都市計画道路3・4・24号線交通広場整備事業につきましては、用地取得率が約70パーセントとなっております。引き続き、関係地権者の方との協議を重ね、用地取得を進めてまいります。併せて、駅周辺の一体的な交通環境の整備による環境の改善や利便性の向上を図るため、南側へ延びる街路部分の整備に向けて、現況測量や概略設計等を行ってまいります。
 次に、西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業につきましては、令和3年に鉄道付属街路等が都市計画決定され、今後の事業認可に向けた取組が進められているところでございます。令和5年度につきましては、関連する付属街路や駅前広場の予備設計等を行ってまいります。
 次に、無電柱化の推進についてでございます。
 本市の無電柱化推進計画に位置づけている優先整備路線のうち、東京都の補助事業に認定されている市道220号線、田無庁舎北側の市役所通りにつきましては、東京都からの補助の動向などにも注視しつつ、工事に向けた詳細設計等を実施してまいります。
 次に、ひばりヶ丘駅周辺のまちづくりについてでございます。
 ひばりヶ丘駅北口のひばりが丘北四丁目地区中央にある生産緑地につきましては、平成17年3月に策定した「ひばりヶ丘駅北口地区まちづくり基本構想」において、まちの拠点となる空間として、既存の緑地を活かす方向性を示しております。この度、所有者のご意向により特定生産緑地に指定しないことから、西東京市土地開発公社での先行取得を前提に、公園等の都市計画施設への位置づけや地区計画の検討を進めてまいります。
 ひばりヶ丘駅南口につきましては、環境空間や今月末に完成する市道104号線の整備事業と併せて、地域の皆様と連携したまちの賑わいの創出に努めてまいります。
 次に、みどりに親しむまちづくりについてでございます。
 生活における身近なみどりは、私たちの心に安らぎを与える憩いの場所であり、地球温暖化対策やヒートアイランド現象の緩和のほか、防災機能の強化なども期待されます。
 令和5年度につきましては、昨年策定したゼロカーボンシティガイドラインなどとの整合を図りながら、みどりのあるまちづくりに向けて、第2次みどりの基本計画の策定に取り組んでまいります。また、みどりの拠点である公園につきましては、予防保全の考えに基づく公園施設の長寿命化を目的とした計画を策定してまいります。このほか、下保谷四丁目特別緑地保全地区の一般開放や四季折々のイベント等を行いながら、みどりの保全と活用を進めてまいります。
 次に、都市インフラ関係についてでございます。
 西東京都市計画道路3・4・11号線の調布保谷線から都道保谷志木線までの区間につきましては、令和4年度に引き続き、権利者の方々のご意向等を丁寧にお聞きしながら、早期完了を目指してまいります。
 令和3年8月に一部交通開放された、西東京都市計画道路3・4・9号線につきましては、全線開通に向けて、市民の皆様が利用しやすく安全な道路となるよう、東京都及び警視庁と調整してまいります。
 また、雨水溢水対策といたしましては、芝久保町四丁目地内や向台町四丁目地内などにおいて対策工事を行うとともに、北原町一丁目地内や新町五丁目地内における雨水溢水対策に向けた設計等を行ってまいります。
 次に、住宅セーフティネットについてでございます。
 高齢者や障害のある方など、住まいの確保に配慮が必要な方を支援するため、本市では、令和2年度に居住支援協議会を設置し、保証委託料などの助成、入居に関するお困りごとの相談対応などを行ってきたところでございます。
 令和5年度につきましては、高齢者や障害のある方、所得の低い方など、住宅に困窮する方が入居できる専用住宅の改修費用の一部助成や、住宅にお困りの方が低廉な家賃で入居できるよう、賃貸人の方への補助を行ってまいります。
 次に、空き家対策についてでございます。
 昨年12月より、空き家の発生を予防し、良好な住環境の維持・向上を図るための西東京市空き家バンクを創設いたしました。
 令和5年度につきましては、倒壊等の危険性がある特定空き家等の除却費用の一部を助成するなど、快適な住環境の確保に努めてまいります。
 次に、防犯対策についてでございます。
 本市では、通学路などに防犯カメラを設置し、地域の安全・安心の構築に取り組んでまいりました。令和5年度につきましては、商店会が設置する防犯カメラの新規設置等に対して、支援してまいります。
 最後に、防災分野についてでございます。
 集中豪雨などの自然災害や近い将来の発生が懸念される首都直下型地震等に対応するため、防災対策の強化や災害への備えが重要であると考えております。昨年5月には、「首都直下型地震等による東京の被害想定」が公表されました。令和5年度につきましては、この新たな被害想定を踏まえ、地域防災計画の修正に取り組んでまいりたいと考えております。
 防災行政無線につきましては、機器の更新とともに、令和4年度に実施した防災行政無線の音達調査を踏まえた、聞こえの改善を図ってまいります。

市民とともに発展するまち

 5点目は、「市民とともに発展するまち」についてでございます。
 はじめに、学校を核としたまちづくり、地域づくりについてでございます。
 コミュニティ・スクールにつきましては、学校応援団による地域学校協働活動と連携した取組として、実施校を段階的に増やしており、地域の皆様、関係団体の皆様のご理解とご協力により、「地域と共にある学校」の実現に向けた活動が行われております。
 令和5年度につきましては、全小中学校において、総合的な学習の時間を中心に、地域の人材や資源・文化等を活用した体験的で探究的な学びを展開する「西東京ふるさと探究学習」を実施するなど、引き続き、地域で子どもたちの学びや成長を支えるとともに、学校を核とした地域づくりを目指し、地域と学校がパートナーとして連携・協働した活動を推進してまいります。
 次に、地域コミュニティについてでございます。
 地域協力ネットワークにつきましては、本年2月に、「北東部地域協力ネットワーク」が誕生し、市内全域に地域協力ネットワークが整備されました。今後は、各地域の協力ネットワークが相互に連携・協力しながら、地域活動の充実や地域課題の解決に向けた取組を推進してまいります。
 また、連携・協働を進める上で重要となる行政情報の発信力の強化に向けましては、専門的視点からアドバイスを行う任期付職員を新たに配置し、市民の皆様に、より伝わる・より分かりやすい広報活動に努めてまいります。
 併せて、職員が積極的に地域へ出向き、つながることが大切であります。このことを通じて、地域における新たな魅力の発見や価値の創出などを発信することで、まちへの愛着を高める取組へと広げてまいります。
 性の多様性につきましては、引き続き、多様な性や生き方に関する理解促進を図るとともに、「東京都パートナーシップ宣誓制度」を踏まえ、本市といたしましても、東京都と連携しながら、パートナーシップ関係に係る生活上のお困りごとの解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、産業・農業振興、物価高騰対策についてでございます。
 事業者の方々からは、令和4年度は集客がコロナ前に戻らない状況に加え、物価高騰等の影響もあり、経費負担が増加するなど、大変厳しい経営状況であったとのお声を伺っております。
 これまで、本市では、キャッシュレス決済ポイント還元事業や市内消費喚起事業のほか、急激な物価上昇に対しまして、市内事業者物価高騰等対応支援事業を実施してまいりました。
 令和5年度につきましても、物価高騰対策といたしまして、商店街活性化推進事業補助金の補助率の拡充を継続するとともに、キャッシュレス決済ポイント還元事業を実施し、市内事業者や消費者の皆様の支援を図ってまいります。
 併せて、小中学校における給食食材への補助を継続するとともに、幼稚園や保育園に対しましても新たに補助を実施するほか、国民健康保険料につきまして、被保険者の生活状況を考慮し、据え置きといたします。
 起業・創業につきましては、西東京商工会や金融機関などで構成する創業支援ネットワークを活用した伴走型の支援を更に進めるとともに、本市独自の女性の働き方サポート推進事業の取組を市内外に広く周知し、本市の魅力を発信してまいります。
 農業振興につきましては、引き続き、小中学生が考案したメニューを飲食店や学校給食に展開する、「めぐみちゃんメニュー事業」を実施するほか、東京都の都市農業経営力強化事業補助金を活用して、新たにオープンするJA東京みらいの直売所を支援することで、農業者の方々の農業経営力の向上を図ってまいります。

行財政基盤の強化を絶えず目指すまち

 重点的な取組の最後といたしまして、行財政基盤の強化、充実についてでございます。
 デジタル化の急速な進展や新型コロナウイルス感染症の影響、物価高騰など、行政を取り巻く環境は複雑化し、将来の予測が困難な状況にあります。
 社会経済情勢等が変化する中におきましても、将来にわたって行政サービスを維持し、まちづくりを更に進めていくためには、行財政改革の取組が必要です。
 令和5年度につきましては、総合計画をはじめとした各種計画の策定に併せて、第5次行財政改革大綱を策定し、業務プロセスの見直し等により、行政の効率化を図るとともに、公債費管理の徹底など、次世代の負担を少しでも減らす取組を進めてまいりたいと考えております。
 また、行政サービスにおけるエリア(圏域)の検討につきましては、中学校区を基本として、エリア(圏域)単位で必要な行政サービスや、提供体制等について検討してまいりました。このエリア(圏域)につきましては、第3次総合計画に位置づける中で、地域の課題を地域で解決する体制づくりを進めてまいりたいと考えております。
 公共施設につきましても、エリア(圏域)の考え方や、現状及び将来見通し、課題等を踏まえ、公共施設等の管理に関する基本的な方針などを整理し、施設の量と質の最適化を図るため、公共施設等総合管理計画を改定してまいります。
 また、統合庁舎に向けた検討につきましては、令和4年度に防災・保谷保健福祉総合センター等の耐力度調査を実施するとともに、田無庁舎の設備更新にかかる費用を調査したところでございます。現在、防災・保谷保健福祉総合センター等の設備更新にかかる費用を試算しており、これらの結果等を踏まえ、統合への時期を見極め、庁舎統合方針の見直しを図ってまいりたいと考えております。
 併せて、災害時への対応といたしまして、田無庁舎等における非常用自家発電設備の整備に向けた調査を行い、庁舎機能の維持体制の確保に努めてまいります。
 なお、保谷庁舎敷地につきましては、庁舎統合方針の見直しにより、活用可能な期間をお示しした後、どのような活用ができるのか検討してまいります。それまでの間につきましては、市民の皆様に自由にご利用いただける広場として、一時的に開放するための環境を整備してまいります。

結びに

 結びとなりますが、今年の市報1月1日号では、昨年の令和2年・3年度に成人を迎えられた方々との対談に続き、第1回にしとうきょう環境アワードを受賞した田無第一中学校の生徒の皆さんと対談をさせていただきました。
 その中で、「自然環境だけでなく、さまざまな立場の人やものに優しい、誰もが幸せに暮らしていけるまちにしたい。」とのお話しを伺い、SDGsの基本理念である「誰一人取り残さない」に通じた考え方に大変感銘を受けました。そして、そのようなまちの実現に向けて、今を生きる私たちに課せられた、「次世代への責任ある選択」の重要性を再認識いたしました。
 令和5年度は、引き続き物価高騰による影響などにより、先行きが不透明な状況が続くと予測されますが、このような時だからこそ、しっかりと未来を見据え、人と人とのつながりやそこから生まれる地域の力を大切にしながら、この難しい局面を、市民の皆様とともに、そして、職員の知恵と工夫で、一丸となって乗り越えていきたいと考えております。
 最後に、市議会の皆様並びに市民の皆様の更なるご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和5年度の施政方針といたします。

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