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市長施政方針(令和3年5月28日)

ページ番号 188-339-560

最終更新日 2021年6月9日

 令和3年第2回西東京市議会定例会の開会に当たり、令和3年度の市政運営の基本方針について所信を申し述べ、議員の皆様、並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 所信を申し述べるに際しまして、本市誕生から20年の節目を迎え、歴代の市長、議長及び議員の皆様並びに関係者の皆様の今日に至るまでのご尽力に対しまして改めて、深く敬意を表します。

施政方針を表明する池澤隆史市長

第2回市議会定例会の本会議場

はじめに

  昨年から引き続く新型コロナウイルス感染症の拡大により、世の中はパンデミック(世界的大流行)となり、医療分野のみならず、市民の皆様の暮らしそのものを直撃するといった、これまで経験したことがない甚大な影響が続いております。
 新型コロナウイルスの変異株が、陽性患者の大半を占めるようになり、3度目となる緊急事態宣言が発出されました。新型コロナウイルスの変異株が全国各地で広がりを見せるなど、今なお予断を許さない状況が続いています。
 新型コロナウイルス感染症によって、お亡くなりになられた方々には哀悼の意を表しますとともに、り患された方々、また、回復が思わしくない方々には、心よりお見舞い申し上げ、1日も早い回復をお祈り申し上げます。
 また、感染症対策の最前線で新型コロナウイルス感染症と向き合う医療従事者の皆様をはじめ、福祉・介護従事者の皆様、子育て・教育関係者の皆様など、毎日の社会活動を支えていただいている大変多くの方々に対しまして、改めて、心からの感謝の意を表します。
 感染症は、目に見えないウイルスとの戦いであり、脅威であるとともに、私たちが社会生活を営む上においても、その影響が、あまりにも広範にわたることから、人々にとって、どれだけの影響、困難があるのか、非常に見えづらい、表に見えてこない部分もあると言えるのではないでしょうか。
 これまでの間、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、国、東京都、そして住民に最も身近な基礎自治体が、それぞれの役割のもとで、様々な対策を講じてまいりました。一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、長期間にわたる行動の自粛が求められ、市民の皆様にとりましては、身体的にも、また経済的にも、心労が絶えない状況が続いていることと思います。
 感染力が強いとされる変異株の出現など、新型コロナウイルスと向き合わざるを得ない状況にございますが、1日も早く収束を迎えられるよう、本市といたしましても全力で感染拡大防止対策に取り組んでまいります。

新型コロナウイルス感染症対策について

 本市における新型コロナウイルスのワクチン接種につきましては、令和3年度のスタートに合わせ、職員体制を増員し、4月19日には65歳以上の高齢者の方を対象に接種券(クーポン券)を発送するとともに、同日から特別養護老人ホームの入所者の皆様を対象にワクチン接種を開始いたしました。
 また、5月7日からは、85歳以上の方々を対象に、市内3会場での集団接種の予約を開始し、5月11日から順次、ワクチン接種を行っております。
 なお、3つの集団接種会場以外に、市内5つの病院のほか約80の医療施設での個別接種の実施を予定しており、多摩地域の自治体の中でも地域全体で支える接種体制が充実しております。
 コロナ禍における対応が続く非常時ではありますが、こうした市内の医療機関との連携も、「健康」応援都市を目指す本市を支えていただいている西東京市医師会をはじめ、医療関係団体のご協力があるからこそであり、これも、長年にわたる信頼関係の上に成り立っているものと考えております。
 特に、日頃の健康状態を把握している、かかりつけ医のいる身近な医療施設において、安心してワクチン接種が受けられることは大変心強い限りであります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への取組についてでございます。
 本市は、これまでの対策として、昨年5月から数えて、合計12回、総額約312億円の補正予算を編成してまいりました。
 新型コロナウイルスワクチン接種体制の確保に必要な予算をはじめ、西東京市医師会が運営する発熱外来への運営支援や、コロナ禍において休止せざるを得なかった乳幼児の集団健診についても、市内小児科医の先生方のご協力を得ながら、診療所等での個別健診で対応をしてまいりました。
 また、在宅で高齢者や障害のある方を介護されているご家族などが感染症にり患した場合に、要介護者を緊急一時的に受け入れていただける施設の確保等を引き続き実施するほか、高齢者施設、障害者施設が行うPCR検査等の経費補助については、令和3年度は、訪問型事業者を対象に加え、引き続き実施してまいります。
 次に、コロナ禍における事業者支援についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により、事業経営に影響を受けている市内事業者の皆様を支援するため、私は、選挙公約に掲げさせていただいた3つの政策「ポイント還元事業」「プレミアム応援券 第2弾の発行」そして、「エッセンシャルワーカー支援」について、市長就任と同時に、政策実行に必要な補正予算の編成を庁内に指示しました。これらの事業につきましては、先の第1回市議会定例会において予算をお認めいただき、現在、その準備を進めております。引き続き、市民の皆様、事業者の皆様に少しでも早く政策の効果を実感していただけるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、市議会の皆様からのご意見もありました、コロナ禍における「若者支援」について、申し上げます。
 この春に高校等を卒業された皆様にとりましては、学校生活最後の1年を新型コロナウイルスが襲い、感染不安がある中でも進学の機会をつかみ、晴れて新たなスタートを踏み出した矢先に、再び緊急事態宣言が発せられました。経済的な不安により「学び」の継続を途切れさせないよう、本市では、国の修学支援新制度を受けている非課税世帯等の学生の皆様を対象に「西東京市学生応援特別給付金」として、一人5万円を給付させていただき、前途ある若者を応援してまいります。
 また、学生の方々も含めまして、若年層の皆様が相談しやすい環境に少しでも近づけるように、SNS (LINE)を活用した相談なども新たに実施させていただき、コロナ禍における不安の解消につなげてまいります。
 そのほか、新型コロナウイルス感染症による国の緊急経済対策の一つである、「子育て世帯生活支援特別給付金」につきましては、まずは、児童扶養手当の支給を受けているひとり親世帯を対象に、児童一人当たり一律5万円の給付金を4月に支給させていただきました。
 なお、国の対策では、支給の対象外となる、これまで児童扶養手当を受給し、令和3年3月31日時点で18歳に到達した児童につきましても、本市独自に給付対象に加えることといたします。
 市議会の皆様におかれましては、この間、臨時会の開催をはじめ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策へのご理解をいただきながら、いくつもの補正予算の審査にご協力をいただきました。正副議長、そして予算特別委員会の正副委員長をはじめ、議員の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 目に見えない、この感染症との戦いには、私ども行政の執行機関と議会の皆様が一丸となって、ワクチン接種の着実な実施をはじめ、感染症の収束に向けた対策に、何よりも最優先に取り組まなければならないと考えております。
 今後とも、より一層のご協力をお願いいたします。

地域の支えがあるまちづくり

 次に、西東京市誕生から20年、「はたちのまち 西東京」のこれからのまちづくりについて、述べさせていただきます。
 私は、人と人とのつながりを持ち、地域の中でそれを実感できるようなまち、地域のことを気にかけ、できることをできるときに、そのような関わりがもてる地域社会を創っていきたいと考えています。
 本市では、これまでの間、基本構想に掲げる「やさしさとふれあいの西東京に暮らし、まちを楽しむ」、この基本理念をもとに、まちづくりを進めてまいりました。
 私は、その中でも「子どもにやさしいまち」でありたい、子どもにやさしいまちであれば、それは「すべての人にやさしい」、そのようなまちになるのではないか、と考えています。
 本市の子ども条例の前文に「子どもは、いじめ、虐待、貧困等の困難な状況について、まち全体で取り組まれ、そのいのちが大切に守られます。」とありますように、私は、子どもたちの命を最優先に考えてまいります。そして、本市が、この先も持続可能なまちとして発展していくためにも、誰にも「成長できる機会」があること、「一人でも多くの支え手」の存在があること、そして、「地域(まち)において、子どもたちと触れ合う機会」があること、これらを施策として展開してまいります。
 さて、令和3年度は、市の最上位計画である総合計画について、次期計画の策定をスタートさせる年度となります。
 平和で、災害が少ない世界であり続けたい、そのように願う一方で、これまでの社会活動や人の活動から生じた課題は、非常に多様で複雑、そして解決困難なものも大変多くあります。
 2015年9月、国際連合総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、世界共通の成長戦略であり、これら課題の解決に向けた取組が網羅的に示されています。次期総合計画の策定を機会に、SDGsの視点も踏まえ、西東京市の10年、20年先を見据えたまちづくりを進めてまいります。

令和3年度予算の概要

主要な施策の内容の前に、まず令和3年度予算の概要についてご説明いたします。

国及び地方財政計画、東京都の状況

 はじめに、国や地方財政計画、東京都の状況ですが、国の令和3年度一般会計予算は、令和2年度第3次補正予算と合わせ、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている国民の命と生活を守るため、感染拡大防止に万全を期すとともに、将来を切り拓くため、中長期的な課題を見据えて着実に対応を進めていく予算として編成されております。歳入では、税収が9.5パーセント減となったことにより、公債依存度が40.9パーセントと高まり、歳出では、社会保障関係費の増加のほか、新型コロナウイルス感染症対策予備費の計上などにより、総額では、前年度比3.8パーセント増の106兆6,097億円となっております。
 また、令和3年度の地方財政計画では、一般財源総額では前年度比0.5パーセント減の63兆1,432億円となった一方で、交付団体ベースでは、前年度を0.4パーセント上回る額を確保し、地方交付税は5.1パーセント増の17兆4,385億円、臨時財政対策債は74.5パーセント増の5兆4,796億円となっております。
 東京都は、「厳しい財政環境の中にあっても都民の命を守ることを最優先としながら、東京の経済を支え、その先の未来を見据えて、都政に課せられた使命を確実に果たしていく予算」と位置付け、一般会計の予算総額は、前年度比1.0パーセント増となる7兆4,250億円となっております。都税は、企業収益の悪化などにより前年度比7.3パーセント減の5兆450億円となった一方で、政策的経費は、前年度比1.4パーセント増の5兆6,122億円となっております。

本市の財政状況と令和3年度予算の概要

 次に、本市の財政状況と令和3年度予算の概要についてご説明いたします。
 本市の財政状況は、令和元年度決算において、経常収支比率は95.1パーセントと前年度から0.2ポイント改善しましたが、4年連続で95パーセント台となっております。
 また、財政調整基金残高につきましても、過去最低規模となる約30億円にとどまっており、第4次行財政改革大綱で示した目標値には至っていない状況であります。歳入面では、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和3年度以降も先行きが不透明な状況が見込まれ、歳出面では、社会保障関係経費の増加や、公共施設やインフラの更新が控えており、行政需要の増加は避けられない見通しであると認識しております。
 このような極めて厳しい財政状況ではありますが、まずは、コロナ禍において市民生活や地域経済が直面している様々な課題に、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。さらに、「健康」応援都市の実現や、子どもが「ど真ん中」にあるまちづくりの実現に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 令和3年度の予算編成にあたっては、コロナ禍で必要な行政支援を的確に届け、また、 本市の目指すまちづくりを進めていくためには、財政基盤の強化に取り組むことも重要であるとの認識のもと、市民サービスと行政運営の両面から、編成してまいりました。
 その結果、一般会計の予算額は、前年度比37億1,300万円、4.9パーセント減の722億3,000万円、一般会計と特別会計、公営企業会計を合わせた予算総額は、前年度比4.0パーセント減の1,172億956万1千円となりました。
 歳入では、市税が、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、過去最高となった前年度から3.3パーセント減となる312億867万3千円となりました。また、普通交付税については、前年度比6.8パーセント減、実績比では0.4パーセント減の26億200万円と見込み、臨時財政対策債については、実績比で33.3パーセント増の25億1,000万円を計上しております。
 これらの結果、一般財源総額は、前年度比1.7パーセント減の427億7,230万4千円と見込んでおり、市債については、普通債と臨時財政対策債を合わせて、前年度比43.7パーセント減の37億7,980万円を予定しております。
 歳出では、義務的経費が前年度比0.3パーセント増の340億6,572万7千円となりました。その内訳として、公債費は、令和3年度で合併特例債の償還が終了することなどにより、前年度比6.3パーセント減となっております。一方で、扶助費については、障害福祉関係などの社会保障関係経費の増加により、前年度比2.9パーセント増となり、歳出予算全体に占める割合も24.9パーセントとなりました。
 また、投資的経費については、中原小学校校舎等建替事業の完了等により、前年度比48.6パーセント減の42億5,612万1千円となったところでございます。
令和3年度予算編成においては、持続可能な行財政運営を目指し、特に、財政調整基金残高の回復と、公債費管理の徹底を図ることとしました。
 財政調整基金繰入金は過去最少となる1億9,100万円に抑制し、令和3年度末の見込残高については42.5パーセント増となる、約23億円まで回復させ、また、臨時財政対策債についても、後年度負担を考慮し、予算段階で約5億円の借入抑制を図ることといたしました。
 新型コロナウイルス感染症の影響による市財政への影響等も見据えると、今後も厳しい財政状況が続くものと認識しており、引き続き、予算の執行管理を徹底し、より一層、第4次行財政改革大綱アクションプラン等を推進することで財源の確保と基金残高の回復を図り、安定的で自立的な行財政運営を目指してまいります。

令和3年度の主要な取組

 令和3年度におきましては、先に述べさせていただきました、新型コロナウイルス感染症に関するワクチン接種事業等の感染症対策と、市内経済の回復に向けた支援策やコロナ禍においても学びの機会を決して失わないよう若者支援を積極的に進めるとともに、私が市政運営に臨むに当たって掲げた6つの重点的な取組を進めてまいります。

子どもにやさしいまち

 まずは、1点目といたしまして「子どもにやさしいまち」についてであります。
 先の所信表明でも申し上げさせていただきました「子どもがど真ん中」のまちづくりを進めることについては、「子どもが人々の、そして地域の輪の中心におり、周辺にいる大人が、子どもの育ちを支える」、そのような姿を念頭に、「子どもがど真ん中」のまちと申し上げさせていただきました。
 この考えは、子どもたちだけでなく、家族を支え、学校を支え、そして学校を取り巻く、地域そのものを支えるというものであります。
 そのためにも、学校や地域を見守り、支えていただく方は、多様で、重層的であって欲しいとも考えており、その支え手の方々が集まり、行動するきっかけの一つが、学校活動ではないかとの認識を持っております。
 学校行事への協力や学校施設を利用した地域の行事、学校に通う児童や生徒との交流、さらには、避難施設としての機能など、学校は地域にとって、切っても切れない関係にあり、地域の拠点になると考えております。
 令和3年度からは、市内の小学校や中学校を支えていただけるような、地域における「(仮称)学校応援団」を創設していきたいと考えております。学校をサポートしていただける団体又は個人の方々であってもかまいません。学校を、そして地域を応援する、そのような制度になるよう、地域で活躍する支え手の参加を募りたいと考えています。
 また、すでに地域において子どもたちを応援していただいている団体などに、声をかけさせていただき、私が公約で掲げさせていただきました「元気サミット」の考えを踏まえた「(仮称)学校・地域 にしとうきょう応援会議」を令和3年度中に開催させていただきたいと考えています。それぞれの地域、学校で取り組まれている内容は、地域を支える活力でもあります。私は、その取組を広く紹介し、それぞれの地域性が発揮できるような機会を作ってまいります。
 次に、「待機児童対策」についてでありますが、令和3年度は、認可保育所1か所、小規模保育施設2施設の整備を進めるなど、早期の待機児童解消に向けた取組を進めてまいります。
 なお、公設の保育園として民間事業者により運営をしておりました市立の「しもほうや保育園」でございますが、本年2月に、西東京市初となる公私連携協定を締結するとともに、園舎等の建物などの売買契約を締結し、令和3年度から民設民営園として新たなスタートを切りました。
 また、この間検討してまいりました公設公営保育園でのおむつの処理に関しましては、感染対策も含め総合的に判断した結果、今後、保育園側で処理いたします。
 続いて、学童クラブ事業についてであります。
 定員超過が顕著な東学童クラブにつきましては、過密化の解消を図るため、教育委員会とも連携し、東小学校の一部施設を学童クラブの用に供することができるよう、令和3年度中に改修工事を行うことといたします。
 次に、乳幼児の予防接種事業についてであります。
 乳幼児の定期予防接種につきましては、市内の医療機関等において、費用負担なく接 種いただいているところでございます。一方で、里帰りなどの理由により、他の自治体の医療機関での接種をご希望される保護者の方々もいらっしゃいます。市外の医療機関での接種では、接種費用の全額をご自身で負担せざるを得ないケースもあることから、 本市では、コロナ禍における里帰り出産の長期化等の状況を踏まえ、令和3年度は、ご負担いただいた費用の償還払い制度を創設させていただきます。
 また、コロナ禍において、子どもを産み育てる家庭の応援・後押しをするために、子育て支援サービスや育児用品などを提供する「東京都出産応援事業」を東京都からの受託事務として行ってまいります。
 次に、「こどもの発達センター ひいらぎ」についてであります。
 こどもの発達センターひいらぎは、昭和41年に「ひいらぎ教室」として開設以来、多くの子どもたちが、このひいらぎから巣立ってまいりました。
 ひいらぎが長年積み重ねてきた経験を、地域の中核的な支援機関として生かすため、令和4年度から児童福祉法に基づく「児童発達支援センター」として開設することといたします。そのため、令和3年度は、その準備経費として関係予算を計上させていただくとともに、専門的な知識・経験に基づき、地域の関係施設等に対する連携・支援の拡充に努めてまいります。
 次に、教育分野についてであります。
 令和3年度は、教育ICT環境の本格的な実現となる「GIGAスクール元年」となります。すでに小中学校の児童・生徒の皆様に一人1台のタブレット端末を用意させていただきました。子どもたちを誰一人取り残すことなく、新たな教育環境下において、子どもたちが多様な考えに触れ、教科の学びを深めるなど、教師、児童・生徒の力を最大限に引き出せるよう、更なる学習環境の充実に努めてまいります。
 学校環境の整備につきましては、児童・生徒の熱中症対策をはじめ、災害発生時においては、地域の避難施設として利用することとなる学校体育館に空調設備を設置することとし、令和3年度内に17の小学校及び7つの中学校において実施いたします。
 また、ひばりが丘中学校につきましては、新校舎の開校準備を進めており、いよいよ本年2学期から新校舎に移転することとなります。ついては、令和3年度・4年度において旧校舎の解体工事を行ってまいります。
 そのほか、小学校における特別支援教室につきましては、けやき小学校を令和4年度から新たに拠点校に加え、4校体制にすることから、その準備経費を予算に計上させていただきました。

健康で元気なまち

 2点目は、「健康で元気なまち」についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の流行は、人々の健康意識にも大きな影響を与えております。
「運動・外出の機会が減った」、「体重が増えた」、「自宅で過ごすことが多くなり食生活が改善した」、「睡眠時間が多く取れるようになった」など、改めて自身の生活を見つめ直すきっかけにつながっている反面、生活環境が一転したこの1年により、日々の生活だけでなく人生そのもの、人生設計の見通しが立たなくなってしまった方々も多くいらっしゃるのではないかと考えております。
 そのことだけが要因とも言い切れませんが、10年続いていた全国の自殺者数の減少は、11年ぶりに前年(令和元年)を上回る結果となりました。
 本市では、これまでも、専用ダイヤルの運用や相談窓口でのきめ細かな対応を行ってまいりましたが、若者などの自殺者の増加が懸念されることから、先ほど申し上げましたとおり、令和3年度から、若年者の方でも気軽に相談ができるように、SNS(LINE)を活用した相談事業を実施いたします。本事業では、特に、これまでの相談事業において十分に対応しきれていなかった夜の時間帯を重視した内容といたします。
 次に、高齢者福祉分野についてでございます。
 令和3年3月に第8期目となる「西東京市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」を策定いたしました。
 この第8期計画に基づき、令和3年度は、地域密着型サービス等運営委員会を開催し、令和4年度・5年度における介護関係施設等の開設に向けた事業者公募などを実施してまいります。
 また、外出機会の減少により高齢者の皆様の認知機能の低下も懸念されております。 令和3年度から実施する認知症検診により、認知症の疑いがある方を早期に発見し、適切な支援につながるよう体制の充実を図るとともに、引き続き、認知症への理解促進に取り組んでまいります。フレイル予防対策については、フレイルサポーターの皆様のご協力を得ながら取り組むとともに、高齢者の皆様の通いの場づくりなど、「みんなで支え合うまちづくり」を進めてまいります。
 そのほか、原則65歳以上の高齢者の方々を対象に実施しています高齢者肺炎球菌ワクチンにつきましては、令和3年10月からは、接種に要する自己負担分5,000円のうち、その半額を公費で負担させていただく予定としております。
 次に、障害福祉分野について申し上げます。
 令和3年3月に第6期目となる「西東京市障害福祉計画」、そして、第2期目となる「西東京市障害児福祉計画」を策定いたしました。障害のある方もない方も、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていける「地域共生社会」の実現を目指してまいります。
 旧泉小学校跡地を活用した障害者福祉施設整備事業につきましては、平成29年度に選定した事業者により施設整備が進められ、当初の予定から遅れはございましたが、本年5月1日に無事開設の運びとなりました。本市ではこの施設を活用し、障害のある方の重度化・高齢化、さらには「親亡き後」を見据えた、緊急時の迅速・確実な相談支援の実施、短期入所を活用した緊急時の受入れ・対応など、地域で障害のある方やそのご家族が安心して生活できる体制の整備を図ってまいります。
 また、日常的に介護が必要な在宅の重症心身障害児(者)に対し、新たに令和3年度から看護師がご自宅を訪問し、ご家族などに代わって医療的ケア等の療養上必要な介護や見守りを行い、介護する方の一時休息(レスパイト)やリフレッシュなどを図ることを目的としたレスパイト事業を実施いたします。
 今後も、「健康になること、そして健康でいること」を応援できるまち、「健康」応援都市としてのまちづくりをさらに進めてまいります。

集える場とつながりのあるまち

 3点目は、「集える場とつながりのあるまち」についてであります。
 本市の南端を流れる千川上水に沿う形で、株式会社三菱UFJ銀行が所有し、広大な緑地を有する運動施設「武蔵野運動場」があります。この施設は、当地に昭和27年4月に開場され、本市においては地域防災計画上における「避難広場」として指定させていただいております。このたび、銀行関係者の方から、この武蔵野運動場について、令和5年6月を目途に、仮称「MUFGパーク」として、地域住民の皆さんに地域開放していきたいとのご意向が示されました。本市最大の公園であります、西東京いこいの森公園の面積を凌ぐ、広大な緑地と運動施設をご利用させていただけるという、本市にとりまして、またとない機会であると考えています。
 5月24日には、株式会社三菱UFJ銀行との間で、地域開放に向けた協定を締結いたしました。今後は、当地でのイベント開催等について、地域の子どもたちや隣接の大学に通う学生の皆様と共に、居場所づくりや地域のオアシス(憩いの場)となるような、市内最大のみどり空間の創出と魅力ある集いの場づくりについて、「公・民・学」連携により取り組んでまいります。
 次に、本市の地域資源であります、下野谷遺跡の整備工事についてであります。
 令和2年度に実施いたしました「したのや縄文里山プロジェクト」に対するクラウドファンディングにより、191名の方から、91日間で474万145円もの「ふるさと納税」によるご寄附をいただきました。この場をお借りいたしまして、事業にご賛同いただきました皆様方に御礼を申し上げます。目標額の2倍を超える反響もありました下野谷遺跡の整備工事につきましては、令和3年度も引き続き進めながら、貴重な文化財の保護・活用に努めるとともに、「遺跡で集い、つながる」そのようなまちづくりを進めてまいります。
 また、令和3年度は、「子ども」あるいは「地域資源」をテーマにした市民の皆様による公益的な活動に対し、西東京市が、その活動費用の一部を助成する(仮称)「西東京市「子ども・地域」応援企画提案事業」を開始いたします。市民の皆様が主体となる公益活動を推進し、地域におけるつながりや、地域資源の活用から、新たな集いの場の発見につながる機会の創出に努めてまいります。
 次に、旧市民会館の解体工事及び跡地活用についてであります。令和3年度は、建物の解体工事を実施するとともに、公民連携による跡地活用を図るため、事業者を募集し、選定してまいります。跡地活用にあたっては、市が市有地に定期借地権を設定した上で、民間事業者が建物を整備し、当該事業者が整備した建物の一部を公共施設として市が賃借することにより、地域における新たな活動の場となるよう、事業を推進してまいります。

安心・安全で快適なまち

 4点目は、「安心・安全で快適なまち」についてであります。
近年、国内においては大型台風の襲来や予想を超える集中豪雨による河川の氾濫、また夏場には全国的に記録的な高温となるなど、地球温暖化による気象災害、気候危機への懸念を抱かずにはいられません。
 世界的な気候危機から脱するためにも、本市も国際社会の一員として、「2050年温室効果ガス(二酸化炭素)実質排出ゼロ」に取り組み、令和3年度中に「ゼロカーボンシティ宣言」を行うことを目指し、「COOL CHOICE推進事業」の実施など、脱炭素社会への転換を積極的に図ってまいります。
 また、持続可能な資源循環型社会の実現に向け、新たな課題に対応した取組を進めるため、次期一般廃棄物処理基本計画を策定します。
 次に、防災対策についてであります。
 令和元年東日本台風や令和2年7月豪雨は、日本各地で記録的な大雨となり、甚大な被害をもたらしました。令和3年度は、台風・集中豪雨への対策のため、本市が定めております地域防災計画の抜本的な見直しを図り、風水害時の活動体制の見直しを行うなど、災害種別に応じた計画改定を行ってまいります。さらに、大型台風などの際に発生する溢水等の防災対策として、白子川の水位をホームページで確認できるよう水位公開システムを導入いたします。
 また、大規模な自然災害などに備えるには、事前の防災と減災、そして、迅速な復旧・復興ができるように、施策の総合的・計画的な実施が重要であることから、地域防災計画の改定にあわせ、国の防災・減災等に資する国土強靭化基本法に基づく、国土強靭化地域計画の策定のほか、災害廃棄物処理計画についても策定してまいります。
 次に、交通アクセス環境について申し上げさせていただきます。
 交通アクセスの円滑化や周辺地域の活性化、さらには交通結節点としての機能向上、 市民交流の促進を図るため、現在、田無駅南口の駅前交通広場整備を進めています。この事業は、用地買収等に係る権利者の皆様のご協力なくして、進めることはできません。個別・具体的に移転の方法や生活再建などのご相談、協議を重ねさせていただきながら、令和3年度は、用地買収1件を予定しているところでございます。
 また、田無庁舎前の市役所通りにおける無電柱化の推進を図るため、電線共同溝の設計などを実施するとともに、その区域の追加に向けても調整を図ってまいります。
 次に、都市計画道路3・4・11号線の調布保谷線から都道保谷志木線までの区間については、東京都の第三次みちづくり・まちづくりパートナー事業に基づく土地の鑑定、用地買収等を実施してまいります。権利者の方々からは、早期交渉のご要望もいただいておりますので、早期完了を目指しつつ、丁寧な対応を行ってまいります。
 ひばりヶ丘駅南口の市道104号線の新設改良事業につきましては、令和3年度において東側歩道が4.5メートルとなるよう拡幅改修等を行い、快適な歩行空間の確保に努めるとともに、令和4年度以降も、段階的に本路線の改良工事を進めてまいります。
 西武新宿線の連続立体交差事業につきましては、東京都が行う連続立体交差化に向けて、関連する付属街路等の都市計画手続、用地測量等の説明会を実施してまいります。
 最後に、雨水溢水対策について申し上げます。
 市内の雨水溢水対策を更に進めるため、芝久保町三丁目地内などにおいて対策工事を実施するとともに、谷戸町二丁目地内などにおける雨水溢水対策に向けた実施設計を行います。

市民とともに発展するまち

 5点目は、「市民とともに発展するまち」についてであります。
 私は、先の所信表明において、学校が「地域の核」になるのではないかと申し上げさせていただきました。
  「学校」は、災害時には避難施設となります。各地での避難生活は、学校や地域に身近な公共施設が中心となります。
  いかに地域の避難施設である学校で、避難生活を過ごせるのか、有事の際には、行政も含めて地域の総合力によって、その局面を、どのように動いて乗り越えていくかが重要であります。
 私は、そのためにも学校や地域の公共施設で、その周辺の方々が手を携え、普段から地域行事や学校行事に関わり、それが、有事の際にも機能するような関係づくりが最も大切なことではないかと考えています。
 したがいまして、現在、本市の総合計画(後期基本計画)で検討することとしている行政サービスにおけるエリア(圏域)の再構築につきましても、小学校や中学校を中心とした地域性を重視しつつ、検討を進めていくことといたします。
 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会についてであります。56年ぶりに東京で開催される予定であったオリンピック・パラリンピック競技大会が延期となり、市内で行われる関係行事も令和3年度の実施となりました。本市では7月14日にオリンピック聖火リレーとミニセレブレーションを、また、8月23日には本市を含め、各地から採火されたパラリンピック聖火リレーを予定しています。大会期間中には、コミュニティライブサイトの実施により、大会の感動と、年齢や障害の有無に関係なく気軽に競技体験を楽しめる機会を作ってまいります。このほか、オランダのホストタウンであります本市では、オランダオリンピック委員会・スポーツ連合との連携事業等を通じて、共生社会の実現に向けた取組も進めてまいります。
 次に、教育分野における「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)及び地域学校協働活動」についてでございます。
 これらの取組は、学校と保護者や地域の方々が共に知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しながら子どもたちの豊かな成長を支え、「地域とともにある学校づくり」を進めるものであります。
 令和3年度は、これらの取組を進めていくため、明保中学校及びけやき小学校をモデル校に選定し実施してまいります。地域と一体となった学校づくりを進めるとともに、市民の皆様や関係団体、さらには企業・事業者などの参画も得て、子どもの学びや成長を支える地域コミュニティについて、学校を拠点に展開していきたいと考えております。
 また、先に述べました「(仮称)学校応援団」の創設や、「(仮称)学校・地域 にしとうきょう応援会議」を開催するなど、学校と地域の結びつきを、より一層深められるよう取り組んでまいります。
 次に、総合計画の策定についてであります。
 現在、本市の最上位計画である総合計画をはじめ、都市計画マスタープランのほか、多くの主要な行政計画は令和5年度に計画期間の終期を迎えます。
 今後、次期計画の策定に向けた取組を進めるに当たり、総合計画を中心に様々な分野別計画の横断的な調整を図ることを目的に、庁内検討組織を設置いたします。これからのまちづくりを進めるために必要な子どもや若者、さらには現役世代の方々からの意見のほか、市政に寄せられる課題などを庁内横断的に共有しながら、計画づくりを進めてまいります。
 また、市内でご活躍されている関係団体の皆様をはじめ、多くの市民の皆様にも関わっていただきながら、10年、20年先の「未来の西東京のまちの姿」を具体的にイメージし共有できるよう、まちのグランドデザインを描きたいと考えております。ここで描くイメージに向かって、快適な住環境を備え、賑わいと活気に満ちた発展性が期待できるまちを市民の皆様とともに、創っていきたいと考えています。
 このようなまちづくりを進めていくためにも、行政情報の発信の強化、とりわけ、わかりやすい情報をいかに正確に素早くお届けできるかが大変重要であります。情報の「見える化・見せる化」、わかりやすい行政情報の発信につきましては、課題もあると考えており、令和3年度の本市ホームページのリニューアルを一つの機会に、広報機能、情報発信の強化を図ってまいります。

行財政基盤の強化を絶えず目指すまち

 最後に「行財政基盤の強化を絶えず目指すまち」についてであります。
 本市の財政構造の弾力性を示す経常収支比率は、平成28年度から4年連続で95パーセント台を推移しており、財政調整基金についても、繰入金の大幅な抑制を図ったものの、依然として大幅な基金残高の回復には至っていない状況にあります。今後の行政需要についてですが、待機児童対策を含めた社会保障関係経費は今後更なる増加が見込まれるとともに、公共施設やインフラの更新時期が迫っていること、さらに、学校体育館への空調設備の設置や、ICT環境の充実を図る中で、その後のランニングコストの増大が懸念されるところであります。
 子どもを取り巻く教育環境の整備に力点を置く一方で、施設総量や経常的なコストを確実に抑制しなければ、持続可能な財政運営は非常に厳しい現状にあるとの認識に立たねばなりません。
 私は、公約の一つに、統合庁舎の建設時期について掲げさせていただきました。平成28年に策定しました庁舎統合方針では、統合庁舎の建設目標を令和15年度としております。私は、今ある庁舎機能を最大限に活用できないか、そのように考え、令和3年度は、田無庁舎の耐力度調査を実施させていただきます。この結果に基づき、現庁舎の活用可能期間をある程度明らかにした上で、統合庁舎に必要な予算なども改めて整理し、庁舎統合方針の見直しを行いたいと考えております。そして、建物の老朽化により閉鎖した旧保谷庁舎は、令和3年度・4年度にかけて解体させていただくこととし、長年にわたり市政を支えた庁舎建物の名残を惜しみつつ、当時を振り返られるような機会を作ってまいります。
 次に、今後の公共施設の更新、あり方について、申し上げさせていただきます。
 中央図書館・田無公民館は、機能の維持・向上を図るため耐震補強工事を実施しておりますが、今後、更新需要を迎える公共施設につきましては、単に今あるものを同じように作り変えるのではなく、施設再編や長寿命化に取り組み、コスト全体の抑制につなげてまいりたいと考えております。
 また、利用者の皆様にとっての利便性や快適性の向上を図りつつ、環境にやさしい省エネ対応の設備を導入することで、温室効果ガスの削減を図ってまいりたいと考えております。
 そのためにも、現在策定を進めております公共施設等総合管理計画等につきましては、各施設の課題を整理の上、まとめてまいりたいと考えています。
 また、行政サービスの向上を目指しつつ、低コストで導入を図れるようなものは積極的に取り入れることとしたいと考えています。
 その一つとしては、市役所における庁内Wi-Fi環境の充実を図り、両庁舎間において、タブレット端末を活用したWeb相談などを試行的に実施し、来庁される方が必要以上に移動することなく、相談などが行える体制づくりを進めてまいります。
 また、新たな歳入確保に取り組むため、令和3年度は、本市の子ども施策に関しまして、ふるさと納税制度を活用した、いわゆるクラウドファンディングを実施いたします。
 子どもの人権に関する取組や虐待防止のための普及活動の充実など、本市の子ども施策全般に関し、寄附を募らせていただきます。そのほか、企業版ふるさと納税につきましても、これまでの実績として、寄附総額110万円、2件のご寄附をいただきました。   
 今後も、西東京市の情報発信の強化を図り、広く、本市の施策にご賛同がいただけるよう工夫してまいります。

結びに

 新型コロナウイルス感染症により、私たちの生活は、多くの不自由さに直面しています。そのような中で、改めて思うことは、人と人とのかかわりがいかに大切であるのかということであります。
 一方で、この感染症により、新たなビジネスが注目されたり、私たちが当たり前のように過ごしてきた生活の中でも、価値観の変化、新たな生活スタイルを受け入れたりと、発想や視点を変え、順応していくことも重要であると気づかされます。
 私は、このような視点も踏まえながら、市民の皆様のいのちと健康を守り、1日でも早く、まちの元気を取り戻すことに全力で取り組んでまいります。そして、20万市民の皆様の声をしっかりと受け止め、今だけでなく、これからの西東京市に対しましても責任を持ち、持続可能なまちづくりを進めてまいります。
 今後とも、議員の皆様並びに市民の皆様の更なるご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和3年度の施政方針といたします。

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