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市長施政方針(令和7年2月25日)

ページ番号 522-959-346

最終更新日 2025年2月27日

 令和7年第1回西東京市議会定例会の開会に当たり、令和7年度の市政運営の基本方針について所信を申し述べ、市民の皆様並びに市議会の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 私は、2月2日の西東京市長選挙において市民の負託を受け、2期目の市政運営の重責を担うこととなりました。改めて、市民の皆様とともに市政を前へと進めてまいりたいと、決意しているところでございます。

はじめに

 令和3年2月に西東京市長に就任し、1期4年間、市長として、また一市民として、常に市民の皆様と同じ目線に立つことを心掛け、市政の課題と真摯に向き合い、解決に向けて全力で取り組んでまいりました。
 4年前を思い起こしますと、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、緊急事態宣言が発出されている中での就任でございました。そのため、市民の皆様の生命(いのち)と健康を守るため、国や東京都、そして西東京市医師会の皆様とも連携を図り、感染症対策に強い覚悟で臨み、その後のロシアのウクライナ侵攻などによる急激な円安を背景とした物価高騰への対応にも取り組んでまいりました。また、厳しい財政状況下にあっても次の世代への負担を増やさないための財政健全化に取り組むなど、数多くの諸課題に対し、次世代への責任ある選択のもと、市政を牽引してまいりました。
 私は、現場の声を大切にすることを第一として、お一人お一人の声を市政に活かしたいと考えております。これまでも、時間が許す限り各種イベントやワークショップなどの会場へ直接足を運び、お子様からご高齢の方まで、多くの市民の皆様と対話を重ねてまいりました。このことが私の市政運営の原動力となっており、皆様からのお声を施策や事業に反映させ、まちづくりを進めてまいりました。
 これまでの取組と成果は、市政に携わっていただいた市民の皆様や関係機関・団体等の方々のご理解とご協力の賜物であり、深く感謝申し上げます。
 昨年、市内の中学生から環境問題に関するお手紙をいただきました。そこには「自分で何ができるか、行動しようと思い、踏み出した小さな一歩が、数日で大きな一歩になっているように感じています。」と綴られておりました。私は、自ら踏み出すこの一歩こそが子どもたちが市政へ参画することの証しであると感じており、子どもたちの可能性を大切にし、子どもや若者の声が市政に届くまちを創りたいと考えております。
 2期目のスタートに当たり、引き続き、市民の皆様のお声に耳を傾け、20万市民の皆様とともに、安全で安心して暮らせる西東京市を創るため、全力を尽くしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

これからのまちづくりに向けて

 我が国は、本格的な「少子高齢化・人口減少社会」を迎えようとしております。特に、2025年は、いわゆる団塊世代の方々が75歳以上となることで、国民の5人に1人が後期高齢者となり、超高齢社会はさらに進行していきます。一方で、昨今の出生率の低下などからは、労働力不足や経済成長の鈍化のほか、社会保障費の増大や税収の減少にも繋がる可能性が示唆されており、近い将来、雇用や医療、福祉といった社会活動の根幹となる広い分野・領域において深刻な影響が生じることが懸念されております。
 まさに社会の転換期であり、今こそ、将来のあり方を決めていかなければならない重要な時期であると認識しております。将来を見据え、持続可能な社会を築くためには、私たち一人ひとりが今やるべきことをともに考え行動し、更なる改革を進めていく必要があります。
 そのため、世界共通の指針であるSDGsの理念を念頭に置きつつ、私の政策理念の一番の柱である「子どもが『ど真ん中』のまちづくり」そして、「次世代につなぐ環境施策」「恒久平和への願いを市民とともに取り組む平和施策」「若者と一緒にまちづくりを推進する若者施策」の4つの柱をさらに発展させてまいります。
 令和6年度からスタートした第3次基本構想・基本計画では「ともにみらいにつなぐ やさしさといこいの西東京」を、わたしたちの望みとして基本理念に掲げました。また、「学校が地域のキーステーション」であるとの認識のもと、将来のまちづくりに向け、「学校を核としたまちづくり」を位置付けたところでございます。
 そして、これらの考えを踏まえ、次の10年へ向けて、ソフト・ハードの両面において形あるものを次世代に引き継ぎ残していくため、私は、4つの柱とともに「次世代につなぐまちづくり」を施策推進のための基軸に据え、市民の皆様に「住んでよかった」「住み続けたい」と思っていただけるまちづくりを、さらに進めてまいります。

子どもが「ど真ん中」のまちづくりについて


 次に、「子どもが『ど真ん中』のまちづくり」について、申し上げます。
 子どもは未来への希望であり、子どもの命を大切にし、子どもたちが安心して遊び、学び、健やかに育つことができる環境を提供することは、今を生きる私たちの責任であると認識しております。
 本年3月、令和16年度までの10年間を計画期間とする「(仮称)第3期西東京市子ども・若者ワイワイプラン」を策定いたします。こども基本法やこども大綱などを踏まえつつ、この計画に基づき、次世代を担う子ども・若者一人ひとりが輝き、心身ともに健やかに成長することができる環境づくりに向けて、各施策を推進してまいります。令和7年度の取組といたしましては、子ども・若者の意見を大切にしながら、庁内が連携し、企画や運営等にも参画できる機会の充実を図ってまいります。
 また、義務教育就学児や高校生等の医療費につきましては、これまで、本市独自に所得制限を撤廃し、自己負担で診療が受けられるよう取り組んでまいりましたが、子どもたちの生命(いのち)と健康を守り子育て世帯を支援するため、令和7年10月より、所得制限だけではなく自己負担も撤廃してまいります。

次世代につなぐ環境施策について

 次に、環境施策について、申し上げます。
 本市は、地球温暖化などの様々な環境問題に対応するため、令和4年2月にゼロカーボンシティ宣言を行うとともに、令和6年3月には、2050年の脱炭素社会の実現に向けてゼロカーボンシティ戦略を包含した第3次環境基本計画を策定いたしました。2030年の温室効果ガス排出量について2013年度比46パーセント削減を目指し、引き続き、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用を推進してまいります。
 令和6年度は、再生可能エネルギーへの転換や、循環型社会の構築に向けた取組を推進したほか、友好都市である北杜市との連携により、親子を対象とした森林学習事業を行うなど、環境学習と意識の醸成等にも取り組んでまいりました。令和7年度につきましては、省エネルギー型機器等の買換えの費用助成や、次世代につなぐ森林学習事業などを継続するとともに、新たに、北杜市内での森林整備によるカーボンオフセット事業や、カーボンクレジットを活用して二酸化炭素をオフセットした都市ガスの導入を進めてまいります。
 また、健康への影響が懸念されているPFASにつきましては、東京都水道局に対し、引き続き、水道水の水質管理を徹底し、安全性の確保を図るための必要な措置を講じるよう求めていくとともに、市所有の震災用井戸等の水質検査を行い、市民の皆様のご不安の払拭に努めてまいります。

恒久平和の取組について

 次に、平和への取組について、申し上げます。
 ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ紛争による悲劇は今なお続いており、私たちは改めて、命の尊さと平和の大切さを認識したところでございます。
 今年は戦後80年の節目を迎えます。昨年秋には日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞するという大変意義深いニュースがありました。私は、恒久平和を希求し続けるとともに、戦後の復興や平和の実現にご尽力されてきた先人達へ敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。そして、歴史の教訓を忘れることなく、平和の尊さを次世代に引き継ぐことが大切であると考えております。
 令和6年度には、企画検討の段階から子ども・若者と一緒に平和について考える、子ども・若者平和ワークショップの開催や、ヒロシマの被爆樹木二世の苗木の植樹を行うなど、平和の意義の継承に取り組んでまいりました。令和7年度の取組といたしましては、歴史の継承とSDGsの観点から、子ども・若者平和ワークショップを発展させ、子ども・若者とともに次の世代の活動へとつなぐ(仮称)戦後80周年平和大使事業を実施するほか、平和に関する作品を連続上映するなど、年間を通じた取組により平和に対する共感と理解を深め、平和で戦争のない社会を築いてまいりたいと考えております。

若者とともに進めるまちづくりについて

 次に、若者とともに進めるまちづくりについて、申し上げます。
 若者が持つエネルギーや創造力、斬新なアイデアなどは、地域社会が抱える課題を解決するための一助となっており、若者が主体となってまちづくりに参画し行動することが、地域コミュニティの活性化や、まちの活気へと広がることを実感しております。
 令和6年度には、本市の魅力向上や課題解決に向けた取組として、29歳以下の団体が取り組む事業に対して活動費等を補助する、市民協働企画提案事業(U29チャレンジ部門)を実施してまいりました。また、市の若手職員や市に縁(ゆかり)のある若者による「若者ミーティング」を立ち上げ、アウトリーチ調査や現状の把握等を行い、若者の視点から若者世代が必要とする取組や支援、まちづくりへの積極的な参画を促す仕組みづくりなど、若者が求める取組等について検討してまいりました。
 「若者ミーティング」からの提案を踏まえ、引き続き、継続的な経済的支援策や将来の見通し等への不安に対する軽減策などを検討するため、新たに、庁内検討組織を立ち上げたところでございます。
 令和7年度の取組といたしましては、U29チャレンジ部門を継続するとともに、若者向けPR動画を作成し、本市の取組等について広く周知してまいります。

本市の財政状況と令和7年度予算の概要


 主要な施策の内容の前に、本市の財政状況と令和7年度予算の概要についてご説明いたします。
 本市の財政状況は、令和5年度決算において、経常収支比率は前年度比0.2ポイント上昇の93.3パーセントとなり、財政調整基金残高は、行財政改革大綱の目標である基金現在高比率10パーセントを確保することができたものの、前年度から1億9,457万円減の42億3,754万円となりました。
 今後の見通しとして、歳入面では、市税収入や税連動交付金は堅調に推移すると見込んでおりますが、歳出面では、社会保障関係経費の継続的な増加、公共施設やインフラの更新に加え、物価高騰の長期化による物件費等への影響が顕在化してきており、財政負担が拡大する見通しを踏まえますと、本市の財政は厳しい状況にあるものと考えております。
 令和7年度予算編成に当たりましては、これまで取り組んできた政策の4つの柱を発展させつつ、次世代に引き継ぐための実効性のある取組として進めるとともに、施設等の老朽化対策についても積極的に予算を配分いたしました。
 また、物価高騰等への対応といたしましては、国の経済対策の趣旨も踏まえ、市民生活や市内経済を幅広く下支えするため、公共的な業務を担っている、地域福祉の増進に欠かせない事業者に対する燃料費等の補助を行うなど、本市独自の対策を実施してまいります。
 一方、持続可能で自立的な自治体経営の確立を目指し、これまで進めてまいりました公債費管理の徹底や、適切な予算の執行管理と行財政改革に努めながら、財政基盤の強化を図らなければならないと考えております。
 これらを踏まえ予算編成を行った結果、一般会計の当初予算額は、前年度比10.3パーセント増の 886億6,600万円となりました。
 歳入では、地方交付税が11.0パーセント減の33億9,200万円となりましたが、市税が2.9パーセント増の353億9,913万円と堅調に推移するものと見込んだ結果、一般財源総額は、前年度比3.7パーセント増の490億9,223万円となりました。
 歳出では、公債費が2.5パーセント減の45億8,142万円となったものの、主に、総務費が17.6パーセント増の83億5,113万円、土木費が45.8パーセント増の62億7,777万円、教育費が14.1パーセント増の104億6,817万円となり、財政需要が拡大しております。
 市債につきましては、184.0パーセント増の27億4,230万円となりましたが、施設等の老朽化対策に積極的に取り組みながらも、公債費管理を徹底したことにより、令和7年度末の市債現在高は、前年度から約17億円減の402億4,344万円と見込んでおります。
 また、財政調整基金繰入金は、義務的経費の増や物価高騰対策の実施などにより、前年度比900万円増の17億6,700万円となり、令和7年度末の見込現在高は、14億4,235万円と見込んでおります。
 今後の財政運営につきましては、「健全な財政運営の上に安定した市政運営がある」との考えに基づき、引き続き、公債費管理の徹底と適切な予算の執行管理、行財政改革に努めながら財政基盤の強化を図り、次世代につなぐまちづくりを着実に進めてまいります。

令和7年度の主要な取組

 令和7年度の主要な取組について、新規事業やレベルアップ事業を中心に、私が市政運営に臨むに当たって掲げた6つの重点的な取組に沿ってご説明いたします。

子どもにやさしいまち


 1点目といたしまして、「子どもにやさしいまち」についてでございます。
 はじめに、令和6年度から試行実施した「ほっとルームレター(ミニレター)」につきましては、市内全ての市立小中学校で実施するとともに、市外の学校に通う小中学生も対象とするなど、取組を拡充し、子どもが相談しやすい環境づくりを進めてまいります。また、社会的背景等を起因として様々な問題に直面しているヤングケアラーへの支援につきましては、家庭の状況に応じた相談や適切な支援に繋げられるよう、こども家庭センターにヤングケアラー・コーディネーターを配置してまいります。併せて、小中学生を対象としたアンケート調査や関係機関等の職員向け研修などを行い、早期発見に向けた支援体制の強化を図ってまいります。
 次に、幼児教育・保育の充実についてでございます。
 保育につきましては、出産直後や疾病等の理由により来庁できない方の入所相談等に対応するため、オンライン相談窓口を開設してまいります。
 家庭の事情等によりお子様を一時的に養育できない方への支援といたしましては、新たに、生後4か月から1歳6か月までの乳幼児の預かりに対応するための子育て支援ショートステイ事業の拡充を図ってまいります。また、病気に罹患したお子様や病気の回復期にあるお子様を一時的にお預かりする、病児・病後児保育施設1か所の定員数の拡充を図ってまいります。併せて、乳幼児の豊かな心の育ちをサポートするため、市内の保育所において、主体的・協働的な探究活動を通じて乳幼児の「伸びる・育つ(すくすく)」と「好奇心・探求心(わくわく)」を応援する、とうきょうすくわくプログラムを推進してまいります。
 保育施設の整備といたしましては、ひばりが丘保育園の大規模改修に向けた設計を行うほか、空調設備の改修やトイレの洋式化等を進めてまいります。
 学童クラブにつきましては、過密化の解消に向けて、学校の特別教室等を学童クラブとして使用するタイムシェアを、新たに市内4校で実施するとともに、柳沢小学校の校庭に設置する(仮称)田無柳沢学童クラブにつきましては、令和8年1月の開設に向けた整備工事を進めてまいります。また、放課後における子どもの居場所の充実に向けましては、放課後子供教室について、コミュニティ・スクールや学童クラブとの連携を図りつつ、あり方等を検討するための委員会を設置してまいります。
 児童館における取組といたしましては、子どもの居場所の充実を図るため、児童館1館において夜間開館日を週1日から週3日に拡充してまいります。また、中高生の居場所といたしましては、田無柳沢児童センターを市南部地域における中高生特化型児童館として活用するため、令和9年度のリニューアルに向けた設計等を行ってまいります。
 次に、学校教育についてでございます。
 特別支援教育につきましては、近年の支援を必要とする児童・生徒の増加傾向を踏まえ、きめ細やかな指導体制を構築しつつ、安全に学校生活を送ることができる環境整備が急務となっております。令和7年度につきましては、特別支援学級の介助員の配置拡充や、小学校における登下校時の送迎バス等の移動支援を行うほか、令和8年度の特別支援学級の開設に向けた準備を進めてまいります。
 児童・生徒への福祉的支援につきましては、スクールソーシャルワーカーによる相談体制を継続し、悩みや問題を抱える子どもへの適切な支援に繋げてまいります。
 学校施設の整備といたしましては、学校施設の個別施設計画に基づき、老朽化が進む施設や設備について改善を図る必要があります。令和7年度につきましては、保谷小学校の校舎について耐力度調査を行うほか、児童・生徒の安全な給水環境を確保するため、小中学校の高架水槽等の計画的な改修に向け、改修方法等を検討するための調査を行ってまいります。
 また、空調設備が整備されていない小学校の給食室につきましては、親子給食の調理校8校について、空調設備の設置に向けた実施設計を行ってまいります。
 学校給食費につきましては、昨年4月から完全無償化を実施したところでございますが、令和7年度からは、様々な要因で登校できず、学校給食を喫食することができない児童・生徒も対象に、給食費相当額の支援を行ってまいります。
 田無第三中学校につきましては、施設の建替に向け、昨年設置した学校建替協議会において、委員の皆様により検討を進めていただいているところでございます。学校を核としたまちづくりに向けた初めての事例となることから、当初の検討スケジュールを延伸し、建替場所のほか、周辺公共施設との複合化や学校施設の地域利用、学校の将来像となる基本構想、必要諸室や施設のゾーニングといった基本計画について、田無第三中学校周辺エリア構想と併せ、分野横断的な視点から一体的に検討してまいります。
 GIGAスクール構想におきましては、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実に向け、令和2年度から子どもたち一人ひとりに配布しているタブレット端末につきまして、令和7年度にGovTech東京の共同調達を活用した更新を行うとともに、利用環境の向上のため、ネットワーク回線の改善を図ってまいります。
 図書館事業といたしましては、読書環境の充実に向け、市民団体や大学生ボランティアとの協働により、保育園・児童館や放課後子供教室へのアウトリーチ型連携事業を推進してまいります。
 また、図書館施設の整備につきましては、利用される皆様の安全に配慮しつつ、老朽化対応として、屋上防水工事や外壁改修工事に向けた実施設計を行ってまいります。

健康で元気なまち

 2点目は、「健康で元気なまち」についてでございます。
 はじめに、本市では、令和6年10月に地域の健康や福祉の向上を図り、持続可能な地域社会の実現を目指す「スマートウェルネスシティ首長研究会」に加盟し、加盟自治体のほか、国や大学、民間企業等とのネットワークの構築を進めているところでございます。
 令和7年度につきましては、「『健康』応援都市」の実現に向け、まちづくりに健康の視点を取り入れ、庁内横断的な取組を推進するための「(仮称)スマートウェルネスシティ推進指針」の作成に着手してまいります。
 次に、高齢福祉分野についてでございます。
 令和5年度から実施しております高齢者の保健事業と介護予防の一体的な取組におきましては、健康診査や医療・介護サービスの利用実績がない方へのお声がけや受診勧奨のほか、高齢者が住み慣れた地域でいつまでも自立した生活を送れるよう、フレイル予防・介護予防の取組をさらに進めてまいります。併せて、通いの場等での積極的な施策の展開により、高齢者が抱える多様な課題に対し、特性に応じたきめ細やかな支援を実施してまいります。
 認知症のある方への支援につきましては、まちづくりの視点により、「チームオレンジ」の活動をさらに推進するほか、認知症に関する正しい知識の普及啓発や、早期発見を目的としたもの忘れ予防検診を継続するとともに、市内の認知症疾患医療センターでの認知症予防プログラムを実施してまいります。併せて、関係機関や民間企業などの多様な主体が参加するオレンジフェスを開催するなど、認知症のある方の社会参加推進事業を実施するとともに、まち全体でより身近に安心を感じられる支援を進めるため、ユマニチュード等の取組を検討してまいります。
 次に、障害福祉分野についてでございます。
 本市では、障害のある方が、安心して地域で生活が送れるよう、障害者自立支援法に基づき、様々な独自サービスを実施してまいりました。令和7年度につきましては、移動支援事業や日中一時支援事業の充実を図るとともに、子どもの育ちを支える観点から、すべての障害のある子どもが必要な用具を適切に利用することができるよう、障害のある子どもの日常生活用具の給付に係る所得要件を撤廃してまいります。
 次に、ひきこもり支援についてでございます。
 令和6年度からひきこもり支援の年齢上限を撤廃し、幅広い世代への支援を行ってまいりました。令和7年度につきましては、ひきこもりの方やその家族等への相談支援のほか、居場所づくりの拠点として、旧谷戸高齢者在宅サービスセンター跡地において、ひきこもり地域支援センター事業を展開し、家族セミナーの開催や地域で活動されている方々とのネットワークづくり、普及啓発の強化などを行ってまいります。
 次に、母子保健分野についてでございます。
 産後ケア事業につきましては、出産後の体調の変化や不安、孤立などを感じる中で育児をする母親が、安心して子育てができる支援体制を整えるため、医療機関等と連携したデイサービスやショートステイの利用枠を拡充してまいります。
 最後に保健事業についてでございます。
 国の「第4期がん対策推進基本計画」において、誰一人取り残さないがん対策として、「がんとの共生」が柱の一つとして掲げられております。本市では、がんの早期発見・早期治療に繋がるよう、様々ながん検診に取り組んでまいりました。令和7年度からは、がん治療に伴う外見の変化に悩みを抱える方に対して、ウィッグや胸部補正具などの購入費用等の助成を実施し、がん患者の方の療養生活の質の向上と社会参加の促進を図ってまいります。

集える場とつながりのあるまち

 3点目は、「集える場とつながりのあるまち」についてでございます。
 はじめに、文化・スポーツ分野についてでございます。
 市民会館跡地活用事業につきましては、昨年12月に「ONE FOR ALL西東京」内に、「西東京市民文化プラザ」を開館いたしました。西東京市の地域交流の拠点として、地域に親しまれ、市民の皆様の文化芸術活動を支える文化施設にしてまいりたいと考えております。
 スポーツ施設の整備といたしましては、ひばりが丘総合運動場のテニスコートについて、施設の老朽化に伴う全面改修工事を実施するほか、南町スポーツ・文化交流センター「きらっと」の空調設備等の更新工事や、西東京市スポーツセンターの大規模改修に向けた設計等を行ってまいります。
 次に、文化財についてでございます。
 歴史や文化を後世に保存・継承していくためには、文化財の価値や魅力を広く周知するとともに、文化財で人をつなぎ、まちづくりや地域のにぎわいの創出等に活かすことが重要です。国史跡である下野谷遺跡につきましては、整備地内での大規模工事が終了し、市民協働による活用や魅力の発信に努めているところでございます。令和7年度につきましては、史跡指定10周年に合わせたシンポジウムやイベント等を開催するほか、ガイド機能の充実を図るためのモニターを設置するなど、史跡の保護と活用に取り組んでまいります。
 また、公民館事業といたしましては、学生ボランティアによる講座やイベントを開催するなど、引き続き、公民館が多世代のサードプレイスとなるよう努めてまいります。

安心・安全で快適なまち

 4点目は、「安心・安全で快適なまち」についてでございます。
 はじめに、まちづくりの分野についてでございます。
 令和6年度からスタートした都市計画マスタープランに基づき、市内の半数を占める低層住宅地区につきまして、住環境や防災性の向上を図るため、用途地域等の見直しを行ってまいります。
 西武新宿線の連続立体交差事業に関連した取組といたしましては、昨年10月に東伏見駅周辺地域の皆様、公募市民の方々、早稲田大学の学生で構成する、東伏見駅周辺地区まちづくり協議会を立ち上げ、12月に用地補償説明会を開催したところでございます。今後は、鉄道付属街路の用地取得に向けた土地鑑定や物件調査等を行うほか、まちづくり協議会で議論を重ね、令和8年度を目途に「東伏見駅周辺地区まちづくり基本計画」を作成してまいります。
 都市計画道路の整備につきましては、田無駅南口の交通広場の用地取得を進めており、事業用地の一部においては暫定的な利用をしているところでございます。令和7年度につきましては、交通広場の用地取得完了に向けて、引き続き、関係権利者の方との協議を進めるほか、交通広場から市道118号線までの街路部分の整備に向けた測量や調査・設計等を行ってまいります。
 向台町三丁目・新町三丁目地区地区計画関連周辺道路整備につきましては、市道118号線の現道の拡幅に向けた用地取得等を進めてまいります。
 また、西東京都市計画道路3・5・10号線につきましては、ひばりが丘団地交番前交差点付近から谷戸新道までの区間の事業化に向けて、測量等の調査・設計を行ってまいります。
 次に、公共交通についてでございます。
 令和6年3月に策定した地域公共交通計画に基づき、すべての人が安全で快適で便利に移動ができ、利便性の高い日常生活とにぎわいや交流を支えるネットワークの構築に向けた取組を進める必要があります。令和7年度につきましては、アンケート調査や利用実態等を踏まえ、市南部の交通空白地域において新たな移動手段の実証運行を実施してまいります。
 鉄道駅へのホームドア設置につきましては、令和8年3月までに保谷駅での整備が予定されております。引き続き、西武鉄道株式会社と協議を進め、市民の皆様の安全性の向上を図るための取組として、市内の他の駅での設置に繋げてまいりたいと考えております。
 安心して外出できる環境づくりといたしましては、人にやさしいまちづくり推進計画に基づき、未利用市有地や都市計画道路の残地等を活用し、民間事業者の協力を得ながら、市民の皆様が休憩できるベンチの設置を進めてまいります。
 次に、みどりに親しむまちづくりについてでございます。
 下保谷四丁目特別緑地保全地区につきましては、地域の方々にご協力いただき、各種イベントや一般開放を行っているところでございます。令和7年度につきましては、段階的な常時開放に向け、保全活用ガイドラインを踏まえた環境整備を行ってまいります。
 公園施設につきましては、市立公園の約4割が供用開始から30年以上が経過し老朽化が進んでおります。公園改修計画に基づき、西原自然公園のトイレ等の改修工事に向けた設計や、公園遊具の更新・修繕等を計画的に進めてまいります。
 また、市内のボール遊びができる広場の一つである柳沢児童広場につきましては、今後、東京都の工事の進捗に伴い利用できなくなることが見込まれるため、新たに、南町遊水池にボール遊びができる広場を整備してまいります。
 (仮称)ひばりが丘北四丁目公園の整備につきましては、実施設計を行うほか、公園北側の用地取得等を進め、都市計画公園として防災性の向上とともに、多世代の憩いの場の創出に向けて取り組んでまいります。
 次に、都市インフラ関係についてでございます。
 下水道施設の保全につきましては、布設から50年以上が経過している管路もあり、計画的な老朽化対策や維持管理に努めているところでございます。令和7年度につきましては、下水道プランの改定を行うとともに、経営戦略を見直し、経費の平準化やライフサイクルコストの縮減を図りつつ、安全安心で、適切な維持管理に取り組んでまいります。
 雨水溢水対策といたしましては、新町五丁目地内及び北原町一丁目地内の対策工事を行うとともに、向台町一丁目地内など、溢水箇所の解消に向けた設計等を行ってまいります。また、老朽化が懸念される旧日特管につきましては、既存管の廃止や移設等に向けた調査等を行ってまいります。
 最後に、防災・防犯分野についてでございます。
 昨年の能登半島地震から一年が経過し、今なお多くの方が避難生活を余儀なくされております。改めて、復旧・復興に向けた取組が一日でも早く進むことを願っております。また、阪神・淡路大震災から30年を迎え、地域における防災力の強化や備えることの重要性を、より一層強く感じております。本市におきましても、これまで以上に防災対策を強化し、市民の皆様の安全を最優先に取組を推進してまいります。
 地域における防災対策といたしましては、老朽化した第5分団詰所の建替に向けた設計等を実施するとともに、災害時の拠点となる庁舎設備におきまして、災害時等に外部からの供給を受けずに72時間以上の稼働が可能な非常用自家発電機への改修を行うほか、エレベーター内の閉じ込め対策となる防災キャビネットの設置を進めてまいります。また、災害時のトイレ環境の充実を図るため、避難所となる学校にマンホールトイレを設置するほか、ガバメントクラウドファンディングを活用し、トイレカーの導入を進めるとともに、在宅避難対策となる携帯トイレを全世帯に配布してまいります。
 防犯対策といたしましては、現在実施している商店会に対する防犯カメラ設置助成を継続するとともに、設置後の維持管理費の助成制度を創設してまいります。併せて、令和7年度からは、防犯活動団体への防犯カメラの設置補助を実施し、犯罪の予防や防犯意識の向上を目指してまいります。
 また、近年、多摩地域におきまして、いわゆる「闇バイト」による住宅等を狙った強盗事件が多く発生しております。犯罪の未然防止と安全安心なまちづくりを推進するため、新たな緊急対策として、住宅等の防犯対策に対する助成制度を創設してまいります。

市民とともに発展するまち

 5点目は、「市民とともに発展するまち」についてでございます。
 はじめに、令和3年度から取り組んでいる、地域とともにある学校づくりに向けたコミュニティ・スクールにつきましては、令和6年度から全ての小中学校に展開し実施してまいりました。引き続き、推進委員会による情報共有や好事例の紹介などを通じて、地域と学校が一体となって取組を進めてまいります。
 次に、地域コミュニティについてでございます。
 市民協働推進センターゆめこらぼは、市民活動の中間支援拠点として、コミュニティの活性化や協働によるまちづくりを推進しているところでございます。令和7年度につきましては、新たな運営事業者のもと、コーディネート機能の充実を図るとともに、市民協働企画提案事業等を通じた市民活動団体への伴走型支援を行うほか、若者が地域のまちづくりに参画しやすい仕組みづくり等を検討してまいります。
 また、保谷庁舎敷地の活用に向けましては、「子どもが健やかに育つための居場所や遊び場」「全世代が集える賑わいの創出」などをコンセプトにサウンディング調査を実施いたしました。令和7年度につきましては、子どもたちの健やかな育ちと地域の多様な世代が集い憩える場所の整備に向けて、事業者の公募・選定を行ってまいります。
 旧ひばりが丘中学校跡地につきましては、将来的に学校用地としての活用が予定されているところでございますが、地域の皆様や子どもたちからのご意見を丁寧に伺い、引き続き、暫定活用期間における活用方法について検討してまいります。
 最後に、産業・農業振興についてでございます。
 市内商店街で実施されるイベントや催し等は、地域のにぎわいの創出や活性化にとって重要な取組となっております。これまで、急激な物価高騰に対し、商店会の活動を支援する取組を実施してまいりましたが、令和7年度につきましても、商店街活性化推進事業補助金の補助率の拡充を継続してまいります。
 また、西東京市勤労者福祉サービスセンターにつきましては、本年3月を以て事業が終了し、4月からは西東京市中小企業勤労者共済会による運営となります。会員の皆様には円滑に福利厚生事業等のサービスが継続されるよう支援してまいります。
 農業振興といたしましては、ビニールハウスの整備等に要する費用の一部を補助するための制度を創設し、市内農業経営の安定化と、市内産農産物の供給促進を図ってまいります。

行財政基盤の強化を絶えず目指すまち

 重点的な取組の最後といたしまして、行財政基盤の強化、充実についてでございます。
 本市では、昨年3月に第5次行財政改革大綱を定め、行財政運営の自立性・持続可能性を確保し、必要とされるサービスを確実に提供できる体制の整備を進めているところでございます。
 自治体経営の基盤となる職員・組織につきましては、第3次総合計画の推進や特定課題への対応のため、令和7年7月の組織改正に向けた取組を進め、行政サービスの維持・向上に向けて取り組んでまいります。
 働きやすい職場環境の整備といたしましては、子育て部分休暇制度の新設や時差勤務制度の拡大を行うなど、人材の確保や職員のエンゲージメントの向上による組織の強化に努めてまいります。
 また、教職員の業務負担の軽減や効率的・効果的な食材調達などに向けて、令和7年度から学校給食費の公会計化を実施してまいります。
 持続可能な自治体経営の確立に向けた取組といたしましては、公共施設等の計画的な施設改修・設備更新等のほか、公民連携事業の推進やアナログ規制改革による市民サービスの向上、業務の効率化を目的としたBPRの取組等を進め、より効果的なサービス提供体制を整備してまいります。
 また、令和7年4月からは、西東京市スポーツセンターにネーミングライツを導入するなど、新たな財源の確保による財政基盤の強化に取り組んでまいります。
 DXの推進に向けましては、絶えず変化する社会経済情勢、デジタル社会の急速な進展等に対応するため、情報システムの標準化・共通化を進めるとともに、公共施設予約管理システムの更新による利用者登録や支払手続のオンライン化のほか、事務手数料の支払等へのセミセルフレジやキャッシュレス決済の導入、AI等を活用した相談業務の支援などを通じて、住民サービスの向上と業務の効率化を図ってまいります。併せて、高齢者のQOL向上に向けたデジタルデバイド対策にも取り組み、すべての人にやさしいデジタル化を実現してまいります。

結びに

 市報1月1日号では、昨年実施した市民協働企画提案事業において、新しい取組を提案していただいた若者のグループと、まちづくりについて意見交換をさせていただきました。
 若者たちの「西東京市を好きになってもらいたい」「新しいことにチャレンジしたい」とのひたむきな情熱や想いに触れ、地域の文化や地域の力の大切さを改めて実感するとともに、私自身、大変多くの刺激を受けました。
 「若者とともに」この想いでまちづくりを進めることが、人と地域を紡ぎ、一人ひとりが幸せを実感し、市民の皆様が笑顔あふれる元気なまちへと発展していくと考えております。次世代に責任を持ってこのまちを引き継ぎ、市民の皆様に「住んでよかった」「住み続けたい」と思っていただける西東京市の実現を目指してまいります。
 未来の素晴らしい西東京市を創るために、全力で市政運営に臨んでまいりますので、市民の皆様並びに市議会の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和7年度の施政方針といたします。

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