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市長施政方針(令和4年2月25日)

ページ番号 708-644-866

最終更新日 2022年3月1日

 令和4年第1回西東京市議会定例会の開会に当たり、令和4年度の市政運営の基本方針について所信を申し述べ、議員の皆様、並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

施政方針を表明する池澤隆史市長

市議会定例会の本会議場

はじめに

 私は、昨年2月18日に西東京市長に就任し、1年が経過いたしました。
 市長就任以来、私が心がけていることは、現場に赴き、そこで見て感じたことを大切にしながら、市政運営を進めていくことであります。
 今の時代を生きる私たちが、今後の西東京市のために、今、何をやるべきなのか、それを政策判断の基軸に、次世代への責任ある選択を果たしてまいる覚悟でございます。
 本年1月の広報西東京 新年号では、令和3年度に成人式を迎えようとしている方、また、令和2年度に成人になられた方のご協力をいただき、対談をさせていただきました。若い皆様が「今この時期に、自分自身に何ができるのか」ということに対し、真剣に向き合い、一歩一歩、夢の実現に向けて歩んでおられる、その志に大変感銘を受けるとともに、未来を創り上げていくエネルギーを感じたところであります。

 私は、次世代を担う若い皆様とともに、西東京市のまちづくりについて意見を交わすことが大変重要であり、異なる世代の方とも一緒になった継続的な場づくりが、必要ではないかと考えています。
 今後も、より多くの皆様に、本市が進めるまちづくりへの「希望」や「共感」をいただきながら、西東京市への愛着と誇りを持てる、そのような取組を進めてまいりたいと考えております。

新型コロナウイルス感染症対策について

 次に、本市の新型コロナウイルス感染症対策について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、令和2年1月に国内で最初の感染者が確認されてから、すでに2年以上が経過しております。この間、市民の皆様、事業者の皆様にとりましては、大変厳しい状況が続いております。これまで本市といたしましては、ご希望される皆様へのワクチン接種を着実に進めつつ、必要とされる支援についてスピード感をもって対応してまいりました。
 市民の皆様、事業者の皆様には、新型コロナウイルス感染症による影響が長期に及び、不要不急の外出抑制、マスクの着用、営業時間の短縮など、日常生活において不自由な暮らしを余儀なくされている中、市の施策に、ご理解とご協力をいただいていることに、心から感謝を申し上げます。
 そして、このような状況において、市民生活や社会活動を維持するため、医療従事者の皆様をはじめとするエッセンシャルワーカーの皆様に対しましては、献身的なご尽力に、改めて、深く感謝と敬意を表します。
 本市におきましては、「人」のいのちと健康を守ること、そして、市内経済の活力をまち全体で支える取組、この2点を対策の中心として対応に当たってまいりました。
 まず、「人」のいのちと健康を守る取組として、新型コロナウイルスワクチン接種を着実に実施してきており、3回目の追加接種につきましても昨年12月1日から開始しております。本年2月からは接種の加速化を図るため、2回目の接種完了から6か月以上経過した18歳以上のすべての方を対象に、当初のスケジュールを前倒しして追加接種を行っております。
 また、新たにワクチン接種の対象となる5歳から11歳までの方につきましては、3月からの開始を予定しており、西東京市医師会のご協力をいただき、安心して接種を受けていただけるよう取り組んでまいります。
 年が明け、オミクロン株による感染症の急拡大に伴い、自宅療養者の方々等に対し、寄り添った対応が必要であることから、専用の受付ダイヤルを設けさせていただき、東京都からの支援が届くまでの間において、食料等の物資支援のほか、療養中のご相談に全庁あげて対応しております。
 新型コロナウイルス感染症の収束には、今しばらく時間を要する状況にあります。感染症対策には、今後も庁内一丸となって臨むとともに、引き続き、西東京市医師会が運営する発熱外来への継続的な支援をはじめ、市内医療機関とも連携を図りながら、市民の皆様に少しでもご安心いただけるよう、更なる対応を図ってまいります。
 次に、市内経済の活力をまち全体で支える取組についてでございます。
 令和4年度は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金も効果的に活用しながら、「新たな生活様式」の定着及び市内経済の活性化に向けた「キャッシュレス決済ポイント還元事業」及び「市内消費喚起事業」について、新たな要素を加えて継続してまいります。
 また、コロナ禍において、様々な制約を強いられることとなりました65歳以上の高齢者の方々に対しましては、フレイル予防の視点やご高齢の方々の生活を応援する目的で、市内消費喚起事業の仕組みを活用した「高齢者応援カード」をお配りさせていただきます。
 同様にコロナ禍の中、学びを止めない対応として、市内公立小中学校全学年でのオンライン授業も実施してまいりましたが、様々な制約が学校教育の場においても生じております。学校の休業や行事の中止などによる子どもたちへの影響を勘案し、教育的な支援として、市内の小中学生に加え、高校生等に図書カードをお渡しいたします。
先行き不透明な状況の中でも、高齢者の方々や小、中、高校生等の方々には、これらの事業を通じて、生き生きと暮らせるきっかけとしていただけるよう取り組んでまいります。

次世代につなげる「西東京市ゼロカーボンシティ」を目指して

 次に、環境施策について、申し上げます。
 私は、地域全体で脱炭素社会の実現を目指し、環境負荷の少ないまちを次世代につなぐためにも、ここに、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロを目指し、オール西東京による「西東京市ゼロカーボンシティ」を宣言させていただきます。
 脱炭素社会の実現は、次世代への責任を果たすために、今の時代を生きる私たちが、今やらなければならない「待ったなし」の課題であります。そこで、私たちの生活において、エネルギーを消費することなどで発生する二酸化炭素が約9割を占める温室効果ガスを2013年度比46パーセント削減することを当面の目標としてまいります。
 環境施策は、すぐに効果が表れない難しさがあります。いかに、過度な負担に感じることなく、継続して取り組むことができるかが重要となることから、幼少期からの環境学習に力を注いでまいりたいと考えております。すでに、令和3年度から保育園、幼稚園や小学校において出前講座等を実施し、楽しみながら環境への関心を高めてもらう取組を展開しております。令和4年度も引き続き、この取組を実施するとともに、市民の皆様に環境への関心をより高めていただく工夫を取り入れながら、幅広い世代の方々に向けた事業を展開してまいります。
 なお、このたびのゼロカーボンシティ宣言に合わせて、本市のガイドラインを策定し、現行の第2次環境基本計画 後期計画に新たな取組を加えるとともに、今後策定いたします令和6年度を初年度とする次期環境基本計画におきまして、さらに実効性の高い取組を位置付けることで、ゼロカーボンシティの実現を図ってまいります。

本市の財政状況と令和4年度予算の概要

 主要な施策の内容の前に、本市の財政状況と令和4年度予算の概要についてご説明いたします。
 本市の財政状況は、令和2年度決算において、経常収支比率は前年度から1.1ポイント改善となる94.0パーセントとなり、5年ぶりに95パーセント台を下回り、また、財政調整基金残高についても、前年度から3億4,000万円の回復となる33億7,000万円となりましたが、いずれの指標も、第4次行財政改革大綱で示した目標値には至っていない状況であります。
 歳入面では、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和4年度以降も先行きが不透明な状況が見込まれ、歳出面では、社会保障関係経費の増加のほか、公共施設やインフラの更新が控えており、行政需要の増加は避けられない見通しであると認識しております。
 このような厳しい財政状況ではありますが、令和4年度の予算編成にあたりましては、新型コロナウイルス感染症への対応として、「人」のいのちと健康を守り、市内経済の活力をまち全体で支えることを最優先課題とするとともに、本市の目指すまちづくりを進めていくためには、財政基盤の強化に取り組むことも重要であるとの認識のもと、次世代への責任ある選択の考えに基づき、持続可能な行政運営を目指し、市民サービスと行政運営の両面から、編成してまいりました。
 その結果、一般会計の予算額は、前年度比48億6,000万円、6.7パーセント増の770億9,000万円、一般会計と特別会計、公営企業会計を合わせた予算総額は、前年度比5.3パーセント増の1,233億9,651万円となりました。
 歳入では、市税が、個人市民税や固定資産税の増などにより、前年度から約10億6,000万円増となる322億7,176万1千円となりました。また、普通交付税については、前年度比で35.9パーセント増の35億3,500万円、臨時財政対策債については、前年度比で44.1パーセント減の14億300万円を見込み、これらをあわせた実質的な普通交付税については、前年度比で3.4パーセント減と見込んでおります。
 一方で、財政調整基金繰入金は、前年度比で4億6,800万円増となる6億5,900万円となりましたが、令和4年度末の見込残高については18.3パーセント増となる約27億3,000万円と見込んでおります。
 これらの結果、一般財源総額は、前年度比4.3パーセント増の446億899万円と見込んでおり、市債については、普通債と臨時財政対策債を合わせて、前年度比14.0パーセント減の32億4,970万円を予定しております。
 歳出では、義務的経費が前年度比1.5パーセント増の345億9,203万2千円となり、歳出予算全体に占める割合は44.9パーセントとなりました。その内訳としては、扶助費については、障害福祉関係などの社会保障関係経費の増加により、前年度比2.2パーセント増となり、人件費についても、前年度比1.1パーセント増となりました。また、これまで減少傾向であった公債費は、令和3年度で合併特例債の償還が終了したことにより、前年度比0.1パーセント減と、ほぼ横ばいとなっております。
 また、投資的経費については、都市計画道路3・4・24号線整備事業等により、前年度比42.8パーセント増の60億7,576万7千円となったところでございます。
 さらに、次世代への責任ある選択として、公債費管理の徹底に努め、臨時財政対策債の借入れについて、後年度負担を考慮し、令和3年度に引き続き、予算段階で5億円の借入抑制を行ったことにより、令和4年度末の市債現在高につきましては、約13億6,300万円の減と見込んでおります。
 コロナ禍において市民生活や市内経済が直面している様々な課題に、しっかりと対応するとともに、予算の執行管理を徹底し、より一層、第4次行財政改革大綱アクションプラン等を推進することで財源の確保と基金残高の回復を図り、安定的で自立的な行財政運営を目指してまいります。
 なお、社会保障関係経費の増加や公共施設の更新等、行政需要は、今後ますます増大する見込みであることから、次期行財政改革大綱の策定も進めてまいります。

令和4年度の主要な取組

 令和4年度におきましては、先に述べさせていただきました新型コロナウイルス感染症への対応、そしてゼロカーボンシティの推進を図るとともに、私が市政運営に臨むに当たって掲げた6つの重点的な取組を進めてまいります。

子どもにやさしいまち

 まずは、1点目といたしまして「子どもにやさしいまち」について、子どもの命を大切にし、そして「子どもがど真ん中」のまちづくりを進めてまいります。
 はじめに、母子保健分野についてであります。
 近年、核家族化や晩婚化に加え、コロナ禍での妊娠などにより、産前産後の身体的・精神的に不安定な時期に、家族等の身近な人の助けを十分に得ることができず、不安や孤立感を感じる中で育児を行う母親が増加する傾向にあります。本市では、これまでの産前・産後ケア事業に加え、母親の身体的回復や心理的な安定を促進し、家族が健やかに生活できることを目的に、令和4年度から、新たにショートステイサービス等を取り入れ、産後ケア事業の拡充を図ってまいります。
 次に、児童発達支援についてであります。
 本市のこどもの発達センターひいらぎは、「子どもの発達を一緒に考え、地域の中ではぐくむ」ことを基本方針に、令和4年度から児童福祉法に基づく児童発達支援センターとしての事業を開始いたします。お子様本人への発達支援をはじめ、保育所、幼稚園、市内民間事業者等との連携や、保護者の方への支援も拡充してまいります。
 また、児童発達支援センターの開設に併せて、田無総合福祉センターを改修し、地域における療育の質を高めることなどを目的に、児童発達支援等障害児通所事業の民間事業者を公募し、児童発達支援センターとの公民連携により、市内全体での面的な支援の拡充も図ってまいります。
 次に、子どもの居場所づくりや、子どもを守る体制の充実についてであります。
 令和4年度は、すべての学童クラブにWi-Fi環境を整備し、タブレット端末等が利用できるよう学習機会の拡充等を行い、多くの子どもが過ごす居場所の充実を図ることといたします。
 また、令和4年度から新たに、保谷柳沢児童館、芝久保児童館で隔週日曜日の開館を実施することとし、この2館を加えた8つの児童館で、週末に子どもたちの集える場の拡充も図ってまいります。
 さらに、児童福祉法に基づく「子ども家庭総合支援拠点」を子ども家庭支援センターに位置付け、子どもの見守り及び支援が必要な子どもとその家庭の早期発見、早期対応を更に図るため、人員体制の整備や新たなセーフティネットの構築に取り組んでまいります。
 次に、幼児教育・保育の充実についてであります。
 令和4年度は、4月に認可保育園1園、小規模保育事業2施設を開設するとともに、既存の保育施設に関し定員の見直し等により待機児童の解消に向けて、対策を進めてまいります。
 なお、西東京市公設民営保育園の民設民営化につきましては、民設民営化2園目となります、みどり保育園の事業者選定を令和4年度中に行うとともに、今後を見据え、西東京市公設民営保育園の民設民営化・実施計画の見直しを進めてまいります。
 幼児教育分野では、幼稚園の利用促進を図ることを目的に、令和5年4月に私立幼稚園等に入園する際に必要となる費用について、その一部を補助する制度を開始します。さらに、幼児教育・保育の無償化の施設等利用給付については、令和5年度から、施設等利用給付の幼稚園への法定代理受領(現物給付)に見直すため、その準備をしてまいります。
 なお、幼児教育・保育分野につきましては、令和4年度に組織の見直しも予定しております。
 次に、学校に「登校しない、できない」児童や生徒への対応であります。
 様々な理由により、学校に登校していない児童や生徒、そして保護者の皆様のためにも、必要な時に情報が得られるよう、本市の相談体制や支援サービスの充実、居場所機能の更なる充実も図ってまいります。
 最後に、学校環境の整備でございますが、学校のトイレにつきましては、床を乾いたまま清掃できるよう乾式化を行うとともに、便器の洋式化、手洗いの自動水栓への取替などの改修を実施いたします。そのほか、使用頻度の高い手洗い、水飲み場のレバー式蛇口への取替を行うなど、学校環境の向上とともに、更なる新型コロナウイルス感染症対策も講じてまいります。

健康で元気なまち

 2点目は、「健康で元気なまち」についてであります。
 まずは、予防接種事業について、平成25年度以降、積極的なワクチン接種の勧奨を控えておりました子宮頸がんワクチンは、厚生労働省の専門部会で審議され、積極的な勧奨を再開することになりました。このことに伴い、これまでワクチンの接種を見送られてきた方々に対しまして、公平な接種機会を確保するために、令和4年度から3年間、時限的ではありますが、従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を行うことといたします。
 また、骨髄移植等の医療行為により、これまでに受けた予防接種の効果が期待できなくなった20歳未満の方を対象に、令和4年度以降の接種について、再接種費用の助成を実施いたします。
 次に、高齢福祉分野についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の流行による重症化リスクが高いと言われております高齢者の皆様にとりましては、感染リスクを避けるため外出機会が失われ、会話も遠慮がちになっております。このことに伴い、閉じこもりがちの生活が続くことで、フレイル(虚弱)や認知症の進行が懸念されます。
 本市は、平成28年12月に東京都内の自治体では初めて、東京大学高齢社会総合研究機構との間で「連携協力に関する協定」を締結し、フレイル予防サポーターの養成など、市内各所でフレイル予防事業を展開してまいりました。
 令和4年度は、健康デジタル指導士を養成の上、フレイル予防の拠点となる地域の通いの場に派遣し、デジタル技術を活用した高齢者の方々同士による「eスポーツ」などを通して、楽しく交流ができる環境を整えてまいります。
 また、令和4年度から、東京大学高齢社会総合研究機構に市職員を2年間派遣し、地域活力と多様性のある超高齢社会の実現に向けた施策研究を通じて、本市の高齢者施策に反映させたいと考えております。
 認知症対策に対する取組でございますが、令和3年度からは、新たに「もの忘れ予防検診」を実施いたしました。70歳から80歳までの市民の皆様に検診のご案内等をお送りし、同封した「気づきチェックリスト」を用いたセルフチェックの結果、対象となる方に検診を受診いただくもので、令和4年度も引き続き市内医療機関のご協力により実施してまいります。
 次に、障害福祉分野についてであります。
 障害のある方は、同じ障害認定区分であっても、一人一人の障害の状態や特性は異なり、不安や必要な支援も多様化していることから、これらに応じた相談体制を整備するため、令和4年度からは、専門職を中心としたケースワーカー制の導入を順次進めてまいります。 
 また、障害のある方々の重度化や高齢化、さらには、親亡き後を見据え、泉小学校跡地において令和3年度から進めています地域生活支援拠点等整備については、令和4年度から「相談機能」「地域の体制づくりの機能」「専門的人材の確保・養成の機能」についても、本格的に実施してまいります。
 次に、重層的支援体制整備事業についてであります。
 社会的な孤立を背景とした「8050問題」や「ダブルケア」などが社会問題化しております。
 これらケースの多くには、複数の生活上の課題があり、そのケースごとへの対応に加え、全体を捉えて関わっていくことが重要となります。
 本市では、これらの課題に対し、「福祉丸ごと相談窓口」と庁内関係部署や西東京市社会福祉協議会等による連携した取組を行っておりますが、令和4年度からは、多機関協働での相談支援や社会とのつながりを回復する参加支援のほか、孤立の防止と多世代交流の場を確保する地域づくりを一体的に実施する「重層的支援体制整備事業」に取り組んでまいります。
 本市では、これまで「人」の健康だけでなく、「まち」を健康にするという理念を掲げ、まち全体の健康水準を高めるため、「健康になること、健康でいること」を皆で応援できるまち、「健康」応援都市の実現を目指してまいりました。引き続き、これら施策の推進に努めてまいります。

集える場とつながりのあるまち

 3点目は、「集える場とつながりのあるまち」についてであります。
 まずは、文化・スポーツ分野についてであります。
 令和5年度に開館25周年を迎える保谷こもれびホールにつきましては、メインホール舞台の制御機構や高圧受変電設備の更新等を実施いたします。
 また、平成30年度に閉館した市民会館の跡地活用につきましては、市において定期借地権を設定し、民間事業者による建物整備の上、市がその一部を公共施設として賃借する公民連携による取組を進めております。現在、当該事業者の選定が終了し、令和6年4月までに施設の供用開始ができるよう、基本協定や定期借地契約の締結に向けた準備を進めてまいります。
 次に、スポーツを通じたつながりについてであります。
 令和4年2月4日に、「2022年北京オリンピック競技大会」が開幕しました。女子アイスホッケー競技には、西東京市民である小西あかね選手をはじめ、東伏見を拠点に活動する「SEIBUプリンセスラビッツ」から8名の選手が出場されました。地元にゆかりのある選手の皆様の活躍は、私たちに勇気と希望を与えてくださいました。
 本市では、オリンピック・パラリンピックを通じた生涯スポーツへの関心や共生社会の実現、そして何より、スポーツを通じた人とのつながりに期待して、より専門的な相談対応も行えるスポーツ相談窓口を、令和4年度中に南町スポーツ・文化交流センター「きらっと」に設置してまいります。
 スポーツ施設関連では、「きらっと」の防水改修工事やスポーツセンター、武道場の空調設備等の改修も実施いたします。
 次に、社会教育分野についてであります。
 中央図書館・田無公民館の耐震補強等改修工事は、令和3年度をもって完了し、令和4年4月から再開館することとなります。施設の安全性を確保することに加えまして、社会教育環境の充実を図るとともに、公民館のロビー機能を強化し、学習スペースとしても活用できるようにいたします。
 また、地域人材の活躍の場を広げる取組といたしまして、「まちなか先生」と称して、地域の団体の方々や学芸員・司書資格を有する方などにご協力をいただき、学校教育の現場において講師役として授業を行う取組を令和4年度は本格的に実施いたします。新たな地域人材を発掘し、そのネットワークをひろげ、地域力の向上を図るとともに、地域全体で子どもや学校を支える機運づくりに努めてまいります。
 最後に、国史跡であります「下野谷遺跡」についてであります。
 下野谷遺跡は、縄文時代の大集落が、ほぼ全域で残されている未来に残すべき貴重な文化遺産であり、令和4年度は、竪穴住居等の整備工事を行い、「したのや縄文里山プロジェクト」の完成を目指すとともに、史跡の追加指定を進めながら、下野谷遺跡の保存・活用を進めてまいります。

安心・安全で快適なまち

 4点目は、「安心・安全で快適なまち」についてであります。
 まずは、先に述べさせていただきました、ゼロカーボンシティに関する取組についてであります。
 「国・地方脱炭素実現会議」は、令和3年6月に地域脱炭素ロードマップをとりまとめました。この中で「地域脱炭素は、脱炭素を成長の機会と捉える時代の地域の成長戦略」としております。環境負荷をできる限り小さくしていくためにも、まずは、市役所における率先的な取組として、庁舎をはじめとする公共施設については、その電力調達を再生可能エネルギー由来のものに積極的に切り換えていくことといたします。
 また、公共施設の改修等の際に、温室効果ガスの排出抑制の効果が高い設備の導入を進めてまいります。
 さらに、市民の皆様や事業者の皆様とともに脱炭素に向けた機運をより醸成することを目的に、環境に配慮した行動への動機付けとなるよう西東京市版「環境ポイント制度(にしとうきょう環境チャレンジ)」を創設するとともに、より実践的な取組を進める市民の皆様、事業者の皆様を対象とした表彰制度、「(仮称)にしとうきょう環境アワード」を新たに設け、より良い取組を多くの方が実践できるよう、広報活動にも努めてまいります。そして、令和4年度には二酸化炭素排出量実質ゼロを目標として掲げ、脱炭素社会への実現に向けた取組に賛同する市区町村をもって組織する「ゼロカーボン市区町村協議会」に参画し、市民の皆様、事業者の皆様、そして行政が一体となって、各種取組の普及啓発や関連行事を実施してまいります。
 そのほか、温室効果ガスの排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設された、森林環境譲与税を主な財源とする「地球温暖化防止対策基金」を新たに設置し、二酸化炭素の吸収源として、森林の有する公益的機能に関する普及啓発や環境学習、木材利用の促進等を通じて、地球温暖化の防止につなげてまいります。
 また、廃棄物分野につきましても、更なるごみの減量化、資源化を推進することで、環境への負荷を小さくするよう、令和3年度中に策定します一般廃棄物処理基本計画における取組等を通じて、その周知徹底を図ってまいります。
 次に、みどりに親しむまちづくりについてであります。
 令和3年度中に策定します「下保谷四丁目特別緑地保全地区保全活用計画」に基づき、緑地の一般開放の機会を試行的に増やすとともに、四季折々のイベントを開催するなど、市民の皆様がみどりに親しみながら、集える場所となるよう、みどりのあるまちづくりを進めてまいります。
 また、従来、市内での生垣造成に係る補助事業を実施してまいりましたが、より身近な場所での緑化をさらに進めるため、沿道における花壇等の整備についても、制度の対象とするよう拡充し、「緑と花の沿道推進事業」として、新たなみどりの創出に関する取組を実施いたします。
 市内には、「東大生態調和農学機構」や令和5年6月を目途に一般開放を予定している三菱UFJ銀行が所有する「武蔵野運動場」など、みどり豊かな地域資源があり、これらを生かした取組などとともに、まち全体で、みどりに親しむ機会を創出し、ゼロカーボンシティの積極的な推進を図ってまいります。
 次に、まちづくりの分野についてであります。
 令和元年度から用地買収を進めております田無駅南口駅前広場整備事業に関しましては、関係地権者のご理解・ご協力を賜りますよう努め、引き続き用地の取得につきまして協議を重ねてまいります。令和4年度は、具体的な設備等を含めた設計を行い、整備イメージをお示ししたいと考えております。
 次に、無電柱化の推進についてであります。
 本市の無電柱化推進計画に位置付けている優先整備路線のうち、東京都の補助事業に認定されている市道220号線、田無庁舎北側の市役所通りにつきまして、令和4年度は、工事に向けた設計を行うこととしております。
 次に、空き家対策についてであります。
 本市における空き家の件数は、近年増加傾向にあることから、これまで以上に空き家化の予防や空き家の利活用に向けた取組を進めていく必要があるものと考えております。
 空き家対策セミナーや個別相談会の開催等を継続して行い、空き家化の予防を図るとともに、空き家の所有者等と利活用希望者をつなぐ仕組みとして、「(仮称)西東京市空き家バンク」を関係団体との連携・協力のもと、令和4年度中に創設し、運営が開始できるよう調整してまいります。
 次に、ひばりヶ丘駅周辺のまちづくりについてであります。
 ひばりヶ丘駅南口の市道104号線の整備事業に関しましては、東側歩道の幅員を従来より2メートル拡幅し、幅4.5メートルを確保いたしました。残りの区間については、みどりの形態を見直すことで歩ける幅を広げ、利用しやすい駅前空間となるよう整備したいと考えております。
 また、拡幅を契機に、南口の環境空間とあわせた賑わいの機会創出に努め、利活用の意向も調査しながら、運用に向けた調整を行ってまいります。
 都市計画道路3・4・11号線の調布保谷線から都道保谷志木線までの区間については、令和3年度に引き続き、権利者の方々のご意向を丁寧に聞き取りながら、早期完了を目指し、対応を図ってまいります。
 西武新宿線の井荻駅から西武柳沢駅間の連続立体交差事業につきましては、東京都が行う連続立体交差化と連携し、関連する付属街路等の事業認可取得に向けた用地測量等を進めてまいります。
 次に、都市インフラ関係についてであります。
 現在、本市で管理しております道路管理に関する情報のうち、道路台帳や舗装の種別、掘削に関する規制情報をインターネット上に公開する「道路情報公開型GIS」を導入いたします。このことにより、情報流通の促進を図り、市民・事業者の皆様の利便性向上のほか、行政事務の効率化にも努めてまいります。
 最後に、防災分野についてであります。
 令和元年10月に発生した台風第19号では、市内において床下浸水や道路冠水などの被害が生じ、また、初めて開設した自主避難所においては、運営体制も含め課題が確認されたところでございます。
 このような状況を踏まえ、令和3年度には、本市の地域防災計画「風水害編」を分冊化し、内容の充実を図りました。令和4年度は、この計画に基づく組織対応が迅速に行えるよう、訓練等を通じながら、組織の対応力向上を図ってまいります。

市民とともに発展するまち

 5点目は、「市民とともに発展するまち」についてであります。
 まずは、本市の最上位計画となる次期総合計画の策定についてであります。
 令和4年度は、計画策定作業が本格化する年度となります。現在、総合計画策定審議会を立ち上げ、市民委員4名を含む12名の方々にご協議いただいております。市民委員は、いずれも公募による方々でございますが、そのうち2名は、公募の際、学生枠を設けさせていただき、現役学生の方には委員として活発に議論をいただいております。
 また、令和3年度は、5,000名を対象にした市民意識調査を実施したほか、教育委員会を通じて、市内公立中学校2学年の生徒の皆様にもアンケート調査にご協力をいただきました。学生委員や次世代を担う方々の意見も参考にしながら次期計画の策定を進めてまいります。
 なお、令和4年度、5年度は、各行政計画の策定作業も本格化してまいります。
 すでに述べさせていただきましたゼロカーボンシティへの取組、そして、持続可能で多様性のある社会、誰にでも手を差し伸べられるような包摂性のある社会を実現するための取組であるSDGsの視点を踏まえ、総合計画と各種個別計画を調和のとれた内容としてまいります。あわせて、それらの計画が、連動性あるものとするため、全体の計画策定のタイミングに合わせ、西東京市のグランドデザインの策定にも取り組み、まちづくりへの共感を得られるよう努めてまいります。
 次に、学校を核としたまちづくり、地域づくりについてであります。
 本市において、現在進めておりますコミュニティ・スクールと地域学校協働活動は、幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指すものであります。
 令和3年度は、市内小中学校各1校がモデル校として取組を始めましたが、すでに、これらの活動が盛んに行われている地域もあります。コロナ禍の今だからこそ、次世代を担う子ども達と一緒になり、大人も子どもも、人と人とがかかわりながら、より住みやすいまち・地域の実現を目指してまいります。具体的には、各学校が、学校や地域を支える個人・団体として、「学校応援団」を募り、子ども達や地域のために、できることを、できるときに、お力をお貸しいただきたいと考えております。
 次に、産業・農業振興分野についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市内商店街の組織力強化や地域の絆を取り戻すためのイベント開催への支援として、商店街活性化推進事業補助金の補助率を拡充し、地域活力の向上を図ってまいります。
 また、現在の社会経済状況にあっても、起業・創業を志す方々に対し、西東京商工会や金融機関などと構成する創業支援ネットワークを活用した伴走型の支援を進めるとともに、本市独自の「女性の働き方サポート推進事業」の取組を通して、本市の魅力を発信してまいります。
 農業振興につきましては、令和3年度に実施いたしました、小中学生が考案したメニューを飲食店で販売する「めぐみちゃんメニュー事業」を継続するほか、都市農地保全支援プロジェクト補助金を活用して、農業者が開設する市民農園への支援を図るなど、都市農地の保全にも努めてまいります。

行財政基盤の強化を絶えず目指すまち

 重点的な取組の最後といたしまして、「行財政基盤の強化を絶えず目指すまち」についてであります。
 まず、情報政策分野におきましては、市の組織として新たに「(仮称)デジタル戦略推進係」を設置し、本市の情報システムの標準化・共通化に向けた取組や行政手続のオンライン化を加速させ、事務等の改善も併せ、推進してまいります。
 また、令和3年12月に運用を開始しました、西東京市の公式LINEでは、新型コロナウイルスワクチンに関しましても、簡単に情報を得ることができるようになりました。令和4年度は、LINEにより、市民の皆様から道路や公園遊具等の不具合を画像でいただくような仕組みも構築してまいります。
 次に、市民の皆様の利便性の向上及びコロナ禍における感染症対策の一環として、証明書等交付手数料をお納めいただく際のキャッシュレス化を進めてまいります。具体的には、導入初年度として令和4年度中に、住民票の写しなどの証明書等交付手数料のキャッシュレス決済とともに、市税や国民健康保険料の収納について、スマートフォンを活用した決済も導入する予定でございます。
 次に、市民サービスの更なる向上を目指し設置する「(仮称)おくやみ窓口」についてであります。
 身近な方を亡くされたご遺族が、ご負担なく市役所での手続が行えるよう、ワンストップでご遺族の方を支援する専用窓口を令和4年度に田無庁舎に設置し、ご遺族のお気持ちに寄り添った対応を行うとともに、手続に係る時間の短縮も図ってまいります。
 最後に、行政サービスにおけるエリア(圏域)の検討と、統合庁舎についてであります。
 エリア(圏域)の考え方につきましては、行政サービスを継続的に提供していくために、行政がいかに地域の中に入り、協力関係を築くことができるかが何より大事であります。それには日頃から一定の地域性がある学校を念頭に、市内の中学校区程度が一つの単位としてふさわしいと考えており、今後の行政サービスの在り方や地域コミュニティの在り方などを考える上での基礎としてまいります。
 統合庁舎の実現に向けた現在の検討状況でございますが、令和3年度には、田無庁舎の耐力度調査を実施いたしました。事務棟に関しましては20年以上、議会棟については、一定の補修を施せば40年以上の使用が可能であるとの結果でございました。
 この結果を踏まえ、庁舎機能維持の観点から令和4年度は、保谷庁舎機能として利用している防災・保谷保健福祉総合センター等の耐力度調査を実施するとともに、田無庁舎に関しましても、調査で得られた使用可能年数の期間における設備更新に要する経費等を試算し、これらの情報をもとに統合の時期を見極め、その上で、現在の庁舎統合方針の見直しを図ってまいりたいと考えております。

結びに

 結びとなりますが、新型コロナウイルス感染症により、私たちの生活は、多くの不自由さに直面しています。そのような中で、改めて思うことは、人と人とのつながりがいかに大切であるのかということであります。
 一方で、この感染症により、新たなビジネスが注目されたり、私たちが当たり前のように過ごしてきた生活の中でも、価値観の変化、新たな生活スタイルへの転換など、発想や視点を変え、順応していくことも重要であると感じたところでございます。
 私は、このような視点も踏まえながら、市民の皆様のいのちと健康を守り、市内経済の活力をまち全体で支えられるよう全力で取り組んでまいります。そして、20万市民の皆様の声を受け止め、次世代への責任ある選択を行い、持続可能なまちづくりを進めてまいります。
 今後とも議員の皆様並びに市民の皆様の更なるご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、令和4年度の施政方針といたします。

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