写真で伝える世界、そして東北の今
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最終更新日 2015年5月8日
4月18日(土曜日) 西東京市谷戸公民館にて、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんをお迎えして、「写真で伝える世界、そして東北の今」講演会が開催されました。
谷戸公民館では3.11以降、震災や紛争によって生活が変化し、厳しい状況で生きる人々の生活を見つめてきました。私たちにできることは何かを考えながら、まずは「今世界で何が起きているのか」を知ることから始めようと開催しました。
講師の安田菜津紀さんは、カンボジアを中心に世界の紛争地や災害地などで取材をし情報を発信されている方で、テレビ番組「サンデーモーニング」ではレギュラーコメンテーターとして出演されています。
16歳の時に「国境なき子どもたち」のプログラムでカンボジアへ赴き、支援施設を取材されたことがきっかけとなり、フォトジャーナリストになられたそうです。
講演会は席がほぼ満席で、その中で来場されていた方々は多くが大人の人でしたが、中には小学生や大学生もいらっしゃいました。
講演会では三つの事柄について、写真を見せていただき、お話をしていただきました。
一つ目は、仕事へ付くきっかけとなったというカンボジアのことについてです
最初に観光名所やカンボジアの料理などの写真が挙げられ、どんな国であるか教えていただきました。続いてあげられたのはたくさんの骨や地雷が爆発する瞬間、地雷によって足を失った方の写真で、それらをもとに話が進みます。
戦争により、たくさんの命が失われたこと、地雷というものの恐ろしさというものがよくわかりました。売られて虐待を受けたり、トラフィックチルドレンだった子どもたちが、「自分のつらいことより家族を心配していた」という話が印象に残りました。
二つ目は、震災以降の陸前高田市についてのお話です
そこであげられた写真は波が迫りくるものや、瓦礫の写真、まっさらになってしまった土地の写真、一本松の写真などでした。
このお話で印象に残ったのは一本松の写る写真についてのお話で、世間では希望の象徴であると報道されていたものが、地元の方にとっては希望を感じるものではなかったということです。かつて美しい松原に存在していた約7万本もの松林が一日で消え去り、たった一本しか残らなかった。その土地で暮らしてきたか、そうではないかによって感じ方の差があったのだというお話が心に残りました。
三つ目は、安田さんがとても好きな国であったというシリアについてのお話です。
現在シリアでは混乱が続き、避難民が一千万人を超えるほどになり、その混乱の中で怪我をしてしまった人、家族と離ればなれで暮らすことになってしまった子共たち、またヨルダンにある難民キャンプで15キロメートル四方に約八万人が暮らしているというお話でした。子どもたちや難民キャンプの写真、また配給のパンを売ってお金に換える親子の写真などがあげられ、戦争が何もかもを失わせ、貧しさを招く様子がわかりました。
私は医者ではないので治してあげることもできない。お金持ちでもないので子どもたちをおなかいっぱいにすることもできない。写真を撮り続けている私は彼らのために何ができるのだろうか…と悩まれたときもあったという安田さん。そんな時、「それは役割分担ですよ。声の出せない人の代わりに伝えてください。写真を撮って世界へ今を発信してください」と言われ、「役割なんだ」と気づかれたそうです。
最後には質問コーナーも行われ、「被災地をどのように支援し、見つめていくべきですか」という質問に関しては、「震災の経験を活かしてほしい。それが亡くなった方たちの命をつなぐことになります。例えば私の場合は防災士の資格を取りました。受け身ではなく、主体的に学んでいって欲しい」とおっしゃっていました。
来場者の方々は、「目を背けてはいけないことであることを再確認した」「世界で苦しんでいる人が多くてショックだった」「ほかの人のことを考えていかなければならいないと感じた」など、小さなお子さんたちもしっかりと感想を述べていました。
今回の写真とお話を通して、世界の現状、東北の現状を知り、今後どのように生きていくべきかということについて考えたり、NGO・NPOなど国際協力について興味を持っていくよいきっかけとなりました。
(取材・写真:武蔵野大学学生記者 矢崎美穂)
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谷戸公民館(電話:042-421-3855)
