第62回 毒を持つ生きものをまねる
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最終更新日 2019年8月1日
ドクチョウと名のついたチョウがいます。ドクチョウのドクは毒の意味。ただし、人間が触れても何の害もありません。ドクチョウは幼虫のときに食べた植物の毒成分を体にた
め込んでいるため、それを食べた鳥は「このチョウはまずい」と学習し、その後捕らなくなります。まずいことを学習させるための犠牲はある程度いりますが、種全体としては天敵から狙われなくなるという大きな効果があるのです。
一方で、ドクチョウとよく似た毒を持たない別種のチョウも同じ地域に存在します。ドクチョウに似ることで、天敵がドクチョウを避ける効果に便乗し、狙われにくくなるのです。このことは19世紀中ごろにアマゾンで調査を行ったヘンリー・ベイツによって発見され、ダーウィンの進化論を支持する証拠になりました。彼の名にちなんで、この生きもの同士の関係は「ベイツ型擬態」呼ばれています。
(市報 令和元年8月1日号掲載)
[写真:ベイツ型擬態]
